コダック・ジャパン(同)は、市場でいち早く省電力UVへの対応を実現した完全無処理CTPプレート「KODAK SONORA」の性能を更に高めた新製品「KODAK SONORA CX」を発表した。SONORA CXは、これまで一部の顧客で課題とされていた耐刷性や耐傷性が大幅に向上したことが最大の特長。耐刷性に関しては、従来の1.5倍から2倍にまで向上し、耐傷性も従来の現像有りプレートと同等のレベルを達成している。こうした飛躍的な性能アップにより、これまで以上に多種多様な印刷アプリケーションに柔軟に対応し、更に高いパフォーマンスを発揮する。
今回の改良は、2016年秋に視認性を1.5倍にまで高めた改良に次ぐ2回目の製品改良で、飛躍的な性能アップを機に、製品名称を「SONORA CX」へと改め、このたび販売を開始した。また、商業印刷向けの「SONORA CX」の発表と同時に、これまで要望の高かった新聞印刷向けの完全無処理CTPプレートとして「SONORA NX」も併せて発表し、「SONORA CX」と同時に販売を開始した。
完全無処理CTPプレートのSONORAは、海外での3,500社を超える豊富な導入実績をべ一スに、省電力UVへの対応など日本のユーザーニーズに適応すべく、コダック・ジャパンの群馬事業所の研究開発部門で開発され、2015年6月に日本市場向けに最適化した製品としてリリースされた。以来、日本国内での導入実績は350社(2018年1月1日現在)を超え、数多くの顧客から高い評価を得ている。その活用分野はLED-UVやH-UVといった省電力UV印刷機を導入している印刷会社は勿論のこと、オフセット枚葉印刷機、オフセット輪転印刷機、また減感インキを使用するビジネスフォーム印刷機、平台校正機、更には新聞印刷やパッケージ印刷にいたるまで広範囲にわたっている。
耐刷性が1.5倍から2倍、耐傷性も飛躍的に向上した「SONORA CX」
■2重の陽極酸化被膜層の採用で、耐刷性と耐傷性を飛躍的に向上
SONORAはネガタイプのプレートとして、画線部の感光層は耐傷性が高いものの、一方で非画線部の砂目部分では傷が発生しやすいという指摘があった。このため顧客によっては、版に合紙を挟んで運搬するなどの運用がなされていた。そこで今回のSONORA CXの改良では、2重の陽極酸化被膜層を採用したことにより、耐刷性と耐傷性を飛躍的に向上させることに成功した。
■定評あるPress Ready Technologyによる刷り出しの早さ
SONORAが市場で幅広く受け入れられている最大の理由は、従来の現像有りプレートと同様に何の違和感も無く印刷ができるという点にある。この利点の基盤技術となっているのがコダック独自の「Press Ready Technology(プレス レディ テクノロジー)」。Press Ready Technologyは、従来の高感度ネガタイプのCTPプレートに必須であった酸素遮断層を必要としない技術で、機上現像性を感じさせない、現像有りプレートと同等の刷り出しの早さを実現している。印刷では1枚目よりインキがのり始め、10枚目では既に十分な濃度に達する優れた刷り出しの早さを実現しており、このため損紙の削減にも大きく貢献する。また、SONORAは、着肉性にも優れているため印刷時に水を絞ることができる。網点の再現性も高く、特に平網品質が向上し、よりシャープで高品質な印刷の仕上がりを可能にする。勿論SONORAの使用によって印刷機のセッティングを変える必要は基本的にはない。
■メンテナンスフリーで環境に優しいクリーンな作業環境を実現
プレートセッターでの露光後、現像や水洗、ガム引き、乾燥などの一切の処理工程を必要とせずにそのままプレートを印刷機にセットできる。このため自動現像機やそれに付随する一切の刷版処理機が不要なため、初期投資コストからメンテナンスコスト、液管理の作業まで、現像処理工程に関わる一切の負担を排除できる。刷版製造工程におけるコスト削減や作業負担の軽減に大きく貢献するとともに、自動現像機に関わる設置スペースが不要なため刷版製造現場の省スペースを可能にする。また、処理薬品を一切使用しないため、廃液を全く排出することなく、環境に優しいクリーンな作業環境を実現する。
新聞印刷向け「SONORA NX」も同時発表
新聞印刷用のSONORA NXは、日本の新聞市場の印刷環境を踏まえて、コダック・ジャパンの群馬事業所で開発された完全無処理CTPプレートで、従来の現像有りCTPプレートと全く違和感の無い高い印刷適性を備えている。シンプルな単層構造や定評ある機上現像性能を実現しているPress Ready Technologyなど、基盤技術はSONORA CXと同じだが、反応効率が高い強靭な新開発の感光層を採用したことで、耐刷性に関しては、15万インプレッションを達成している。また、新聞印刷特有のニーズでもある長辺側の版端にエッジ汚れが出にくい特殊加工を施しており、更に版端までの描画も可能となっている。
コダック・ジャパンの藤原 浩代表執行役員社長は、「今回発表したSONORA CXは、プリプレスならびに印刷業務に携わる方々にとって、まさに『夢のプレート』です。耐刷性能が1.5倍から2倍も向上し、耐傷性も飛躍的にアップしたことは、理想的な完全無処理CTPプレートの開発に成功したと言えます。これにより商業印刷分野ではこれまで以上にSONORAが多種多様なお仕事に幅広くご活用いただけ、市場での導入が更に加速度的に進んでいくものと確信しています。また、ご要望の高かった新聞印刷向けのSONORA NXを同時に発表できたことは大変嬉しく、今後、新聞印刷分野でもCTPプレートの無処理化がさらに加速していくものと期待しています。コダックでは、今後も引き続き製品改良に取り組み更に性能向上を図ることで、市場における無処理CTPプレートの更なる拡大に努めていく所存です」と述べている。
なお、コダック・ジャパンでは、この「KODAK SONORA CX」を来る2月7日~9日までの3日間、サンシャインシティコンベンションセンターにて開催されるpage2018(主催:公益社団法人日本印刷技術協会)において出展し、エコノミーCTPのKODAK ACHIEVEとの組み合わせで紹介する。現像機が不要な完全無処理CTPプレートSONORAと省スペース化を実現したACHIEVEプレートセッターとの組み合わせは、従来のCTPは製版室(刷版室)に設置するものという概念を覆し、印刷機の近くや製作現場等にも設置可能な「ロケーションフリーCTP」を実現可能にする。
※耐刷性は印刷条件により異なる。