国立大学法人浜松医科大学(本部:静岡県浜松市、学長:今野弘之)と帝人フロンティア(株)(本社:大阪市北区、社長:日光信二)は、指紋消失による指先の摩擦力消失などのがん薬物療法による副作用に対応した、生活アシスト手袋および指サック「ナノぴたTM」を開発した。
がんは、日本人の2人に1人の割合で罹患する可能性のある疾病で、がん薬物療法により、指紋消失や末梢神経障害による指先のしびれや痛み、手に力が入らない、手が冷たいなどの副作用に悩まされている患者がいる。
特に指紋消失による指先の摩擦力の消失については、紙面がめくれない、瓶のキャップを開けられないなどの状況を引き起こし、日常生活におけるQOL(Quality of Life)の低下を余儀なくされている。
こうした中、浜松医科大学の針山教授が培ってきたバイオミメティクスの発想、がん薬物療法に携わる医療従事者の知見、そして、帝人フロンティアの超極細繊維「ナノフロント®」の技術を融合することで、産学連携による価値創出として「ナノぴたTM」を開発し、このたびの製品化につなげた。
「ナノぴたTM」の特長は次の通り。
(1)高いグリップ力
「ナノぴたTM」の掌側には直径700nmのポリエステルナノファイバー「ナノフロント®」を使用しており、「ナノフロント®」の持つ高い摩擦抵抗力により高いグリップ力を実現している。なお、浜松医科大学の針山教授のバイオミメティクス研究により、「ナノフロント®」の表面構造は、ニホンヤモリやユリクビナガハムシなどの接着力の高い生物の脚先の構造と類似していることが確認されている。
(2)遮熱効果、紫外線ブロック効果
「ナノフロント®」の持つ超微細な繊維構造が高い拡散反射性を実現し、熱を伝える近赤外線を反射することにより遮熱効果を発揮する。また「ナノぴたTM」には、紫外線カット効果のあるポリエステル糸を使用しているため、紫外線による皮膚障害の悪化を防ぐ。
(3)夏用・冬用をラインナップ
「ナノぴたTM」は夏用と冬用の2タイプの仕様を展開するため、年間を通して使用することができる。夏用は、グリップ力を保ちながら冬用よりも通気性が高い仕様となっている。また、洗濯耐久性があるため、繰り返しの使用が可能。
今後の展開としては、今年8月31日~9月1日に福岡国際会議場で開催される日本がんサポーティブケア学会の学術集会において、初めて「ナノぴたTM」を展示する。
帝人フロンティアは、2018年秋より国内の医療商社を中心に幅広く「ナノぴたTM」を提案し、積極的に拡販を図っていく予定。
浜松医科大学と帝人フロンティアは、今後も産学連携によってこれまでにない価値創出を推進し、患者のQOL向上に貢献していく考え。
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【QOL】浜松医科大学と帝人フロンティア、がん薬物療法の副作用に対応した生活アシスト手袋および指サック開発
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