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【リサイクル】古河電気工業、使い捨てプラスチックと古紙を強化プラスチックに再生する技術を開発

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 古河電気工業(株)は、使い捨てプラスチックと古紙を、独自のワンプロセスで、強化プラスチックに再生する技術を開発した。
 回収されたプラスチックは、紙や異種プラスチックが混在して強度が低く、マテリアルリサイクルに適していない。その為、大半が世界中で焼却、埋め立て、あるいは放置されている。この技術によって、使い捨てプラスチックや古紙だけで、強度アップした強化プラスチックに再生可能。
 既に、飲料用紙パックのリサイクル残渣であるポリアルのリサイクルプロジェクトを、紙容器世界最大手Tetra Pak社や、環境事業世界最大手Veolia社と進めている。また、6月からこの技術を使った自社製品を販売開始する。さらに、6/18にドイツで開催される「Plastics Recycling Technology」でTetra Pak社と共に技術を紹介する。そして、国内外の行政機関や、プラスチック業界、リサイクル業界とコンタクトを取って、同技術の普及を進め、地球環境の改善に貢献したいと考えている。

2019 05 30 furukawa

(Mario Abreu氏(Tetra Pak Sustainability VP)からのコメント)
 プラスチックゴミに対する効率的、かつ長期的な解決には、世界のリサイクルインフラの大幅な改善が必要と考えています。このためにはパートナーシップが必須であり、Tetra Pak社と古河電工は3年に渡り、ポリアルリサイクルの技術、設備開発を進めてきました。両社で協力して、持続可能で、使用済み飲料パックの価値を高めるリサイクル方法の確立を目指します。

(David Cox氏(Veolia Global Accounts and Marketing SVP)からのコメント)
 ポリアルはリサイクルが難しい廃プラです。これを一社で解決するのは困難であり、コラボレーションでしか、新たなソリューションが生みだすことはできません。当社はTetra Pak社と既に活動しており、これに加えて古河電工の技術が本問題の解決策となることを期待しています。

■背景
 プラスチック使用量の約4割を占めるレジ袋、食品容器等のプラスチック包装材は、わずか1年でゴミとなる。また、食品包装プラのように、複数種のプラスチックや紙で構成されているものが大半である。その為、回収してもリサイクルが困難で、リサイクル率を上げるためには、新たなソリューションが必要となっている。古河電工は、過去数十年に渡り、ケーブル廃材やプラスチック製容器包装材などのリサイクル材を積極的に活用し、製品寿命が長いケーブル関連製品に使用してきた。2014年から、紙を含むプラスチックに焦点を絞った研究開発を開始し、Tetra Pak社と世界のリサイクルの実情を調査してきた。

■内容
 古河電工は、リサイクルできていない使い捨てプラスチックや古紙などを原材料にして、ワンプロセスで強化プラスチックに再生する技術を開発した。紙の主成分はセルロースで、このセルロース繊維同士が水素結合することで紙ができている。また、本来セルロースとプラスチックは混ざり合わないが、同技術は、紙をセルロース繊維に解繊しながらプラスチックに分散させ、プラスチックを強化させるという、世界で類を見ない独自の技術となっている。
 同技術により、強度を元のプラスチックの約2倍にすることができる。例えば、強度が低いプラスチック材料(LDPE)のレジ袋から、高強度が求められる荷物積載用パレットのプラスチック材料(PP)以上の強化プラスチック材料を作ることができる。同様に、プラスチックと紙の積層フィルムでできている飲料用紙パックから、ガラス繊維強化プラスチック並みの材料を作ることが可能。この材料は、射出成形や押出成形が可能。
 古河電工は、量産ラインを3月から稼働しており、6月から同技術を使った当社のケーブル関連製品を販売開始する。また、同技術は自社製品への利用に留まらず、世界に向けて発信して普及を図り、地球環境の改善に貢献したいと考えている。

■備考
 2019年6月18、19日にドイツ、デュッセルドルフで開催される「Plastics Recycling Technology https://www.ami.international/events/event?Code=C0973 )」にてテトラパック社と共同で同技術を発表する。

用語解説:ポリアル(PolyAl):飲料用紙パックから再生紙を製造する過程で発生する残渣の呼称。飲料用紙パックは、紙、アルミ、ポリエチレンで構成されており、回収した飲料用紙パックから紙成分を分離し再生紙の原料となる。ポリアルの主成分はポリエチレンだが、紙、アルミが残っており、リサイクル率を上げるためには、新たなソリューションが必要である。


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