(株)カネカのグループ会社である(株)ケイ・エムトランスダームの粘着基剤(*1)技術を使用したアルツハイマー型認知症治療剤の新基剤製剤が、3月13日に製造販売承認事項一部変更の承認(*2)を取得した。この製剤は、小野薬品工業(株)およびノバルティス ファーマ(株)が、経皮吸収型製剤(*3)である「リバスタッチ(R)パッチ」および「イクセロン(R)パッチ」(両剤とも一般名:リバスチグミン)(*4)の改良のために、ケイ・エム トランスダームの粘着基剤技術を採用したもの。
従来の製剤には貼付部位の紅斑やそう痒症などの皮膚症状の副作用報告があったことから、小野薬品およびノバルティス ファーマとケイ・エム トランスダームが協働して新基剤製剤の開発を進めてきた。今回承認を取得した新基剤製剤に採用されているケイ・エム トランスダーム独自の粘着基剤技術は、合成ゴム基剤として従来必須であった粘着付与剤を使用しなくても適度な粘着性を持たせることができる技術であり、肌に優しく、貼り心地が良い粘着基剤の実現が可能。
今後もカネカグループは、独自の粘着基剤技術を活用し、製薬企業と協働した製品開発を推進することで、より多くの患者様のQOL向上に貢献していく。
*1.基剤とは、医薬品製剤に含まれる有効成分以外の物質である添加剤のうち、基礎となる成分のことであり、経皮吸収型製剤においては、粘着層を形成する主な成分となる。
*2.製造販売承認事項一部変更の承認とは、既に承認を受け製造販売が行われている医薬品の承認内容(販売名、成分分量、製造方法、原料、用法用量、規格・試験法など)の一部に変更を加える場合に必要となる当局の承認のこと。所定の手続きにより医薬企業が申請、専門機関による審査を経て承認に至る。
*3.経皮吸収型製剤とは、有効成分が皮膚を通して全身循環血流に送達すべく設計された、皮膚に貼付して用いる製剤。
*4.「リバスタッチ(R)パッチ」および「イクセロン(R)パッチ」はノバルティス社(本社:スイス バーゼル市)が創製した薬剤で、日本では2011年4月に「軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」を効能・効果として製造および販売が承認され、同年7月に小野薬品からは「リバスタッチ(R)パッチ」、ノバルティス ファーマからは「イクセロン(R)パッチ」の製品名でそれぞれ販売が開始された。海外では、2007年7月に米国、同年9月にEUで承認されて以来、軽度から中等度のアルツハイマー型認知症の標準治療薬の一つとして、世界90カ国以上で承認されている。
<株式会社ケイ・エム トランスダームの概要>
・代表者:社長 田邉 明紀
・資本金:300百万円
・所在地:大阪市北区
・事業内容:経皮吸収型製剤の開発