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【BRエタノール】積水化学工業とINCJ、岩手県久慈市に実証プラントを新設し2021年度末に稼働・実証事業開始

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 積水化学工業(株)と、(株)INCJはこの度、積水化学工業と米国ベンチャー企業LanzaTech(以下、「ランザテック社」)が共同開発した、微生物触媒を活用して可燃性ごみをエタノールに変換する技術*1(以下、「BR*2エタノール技術」)の実証事業の実施、および事業展開を行うことを目的として、合弁会社「積水バイオリファイナリー(株)」(以下「合弁会社」)を設立した。
*1 積水化学の2017年12月6日付プレスリリース「“ごみ”を“エタノール”に変換する世界初の革新的生産技術を確立」参照。
*2 BR…Bio Refineryの頭文字をとったもの。
 積水バイオリファイナリーにおいては、BRエタノール技術の実用化・事業化に向けた最終段階の実証を行うため、まず、岩手県久慈市に実証プラントを新設し、2021年度末に稼働を開始、実証事業を行う予定。実証プラントでは、標準的な規模のごみ処理施設が処理するごみの1/10程度の量(約20t/日)を既存ごみ処理施設から譲り受けて原料とし、エタノールを生産する予定。また、自治体やごみ処理関連企業、プラントメーカー等のパートナーを広く募るとともに、実証プラントにて生産したエタノールを、本技術に関心のある多くの業界の企業等に提供し、エタノールを活用する様々な製品・事業の検証を行ってもらう予定。これらの取り組みを経て、BRエタノール技術の本格事業化を目指す。
 積水化学工業、INCJJ両社は、積水バイオリファイナリーにおけるBRエタノール技術の実証事業等を通じて、社会課題の解決に寄与する究極の資源循環社会システムの創生に貢献していく。
                                                                                                                                     <積水バイオリファイナリーを通じて目指す将来像>
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                                                                                                     <想定するBRエタノール技術の事業化および事業展開のスケジュール>
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背景
 日本で排出される可燃性ごみは、実に年間約6,000万トン*3であり、そのエネルギー量はカロリー換算で約200兆kcalにも達す。この量は、国内でプラスチックを生産するために用いられる化石資源(年間約3,000万トン*4、約150兆kcal)と比べて十分に大きい量であるにも関わらず、その再利用は一部に留まり、多くは焼却・埋立処分されているのが実情。
 また、プラスチックは、ひとびとの暮らしの利便性に役立つ様々な製品に活用されており、私たちの生活になくてはならないものとなっている。一方で、海洋プラスチック問題に代表されるように、プラスチックの使用後の扱いが課題となっており、その課題解決のために、使用後の再活用が求められている。
 積水化学工業は、次代に豊かな社会を引き継ぐため、廃プラスチックを含む可燃性ごみを都市油田に変える「ごみの資源化」に取り組み、ランザテック社との共同開発により、可燃性ごみをプラスチック等の原材料になるエタノールに変換する技術を2017年に確立し、その実用化・事業化に向け、環境省委託事業(二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業)等を活用して、パートナーの募集やビジネスモデルの検討を進めてきた。
*3 出典:環境省『廃棄物の広域移動対策検討調査及び廃棄物等循環利用量実態調査報告書』をもとに積水化学工業にて試算
*4 出典:プラスチック循環利用協会『プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況』をもとに積水化学工業にて試算

積水化学工業とINCJよる合弁会社、積水バイオリファイナリー設立の趣旨
 BRエタノール技術の事業化および事業拡大や、社会への普及のためには、原料となる廃棄物関連の行政を所管する自治体や、民間企業などのパートナーとの強固な連携が欠かせない。
 積水化学工業は、経済産業省が所管する官民ファンドであるINCJの協力を得て、自治体やごみ処理関連企業、プラントメーカー、エタノールを利用する企業など、パートナーとの強い協力関係を構築するとともに関連省庁との協議や連携なども円滑に進めることを期待している。
 一方、INCJは、産業や組織の壁を越えて、オープンイノベーションにより次世代の国富を担う産業を育成・創出することを基本方針としており、合弁会社への投資は、INCJの基本理念と合致するものと考えている。
 また両社は、積水バイオリファイナリーを通じてBRエタノール技術の事業化および事業拡大を進めることで、日本各地における地方貢献や、カーボンリサイクルを通じたサーキュラーエコノミーの実現により社会課題解決に寄与するとともに、持続可能な社会の創生に貢献することを目指す。

積水バイオリファイナリー設立にあたっての両社のコメント
積水化学工業(株)代表取締役社長 加藤敬太 氏
 「当社はESG経営を最重要課題と考え、取り組みの充実と加速を目指しております。その中の重要なテーマである『ごみの資源化』は果たすべき使命であり、果敢に挑戦すべき課題であるとの信念の下、“ごみ”を資源として使いこなす技術の開発に取り組んでいます。INCJのご支援を得て、多種多様な連携を発展し、社会実装を加速して社会課題解決に貢献していきたいと思います」

(株)INCJ 代表取締役会長 志賀俊之 氏
 「本事業は化石資源に依存しないバイオリファイナリー・エコシステムの創出を目指しており、世界的な課題であるCO2削減やプラスチックゴミ問題の解決に寄与すると期待されます。INCJは積水化学と協力し、複数の技術を組み合わせるオープンイノベーションを一層推進することで、『ごみの資源化』技術の事業化に取り組んで参ります」

<積水バイオリファイナリーの概要>
社 名:積水バイオリファイナリー(株)
所在地:東京都港区虎ノ門2-10-4(積水化学工業・東京本社内)
代表者:代表取締役社長 両祖 徹(りょうそ とおる)氏
設立年月:2020年4月
事業内容:BRエタノール技術の実証事業の実施、およびBRエタノール技術の事業展開

■BRエタノール技術について

 積水化学工業とランザテック社は、ごみ処理施設に収集されたごみを一切分別することなくガス化し、このガスを微生物により、熱・圧力を用いることなくエタノールに変換する生産技術を2017年に確立した。大量に存在しながらその工業利用が極めて困難であった“ごみ”を、化石資源に替わる資源として使いこなすことを実現した、革新的な技術。
SnapCrab NoName 2020 4 16 15 24 58 No 00

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