(一社)電子情報技術産業協会(JEITA)のソリューションサービス事業委員会(委員長:富士通(株)執行役員 東 純一氏)は、IDC Japan(株)と共同で実施した「2017年国内企業の『IT経営』に関する調査」結果を発表した。同調査は2013年の「ITを活用した経営に対する日米企業の相違分析」、14年の「国内企業における『攻めのIT投資』実態調査」、15年の「攻めのIT経営企業におけるIT利用動向関連調査」に続く調査であり、17年は初回調査から4年を経過していることから、最新の国内企業のIT経営状況を把握すべく、調査を実施した。今回の調査では、13年との比較のため、設問はほぼ当時と同様のものとし、経営者およびIT部門以外(事業部、営業、マーケティング、経営企画)のマネージャー職以上を対象にアンケートを実施、333社に協力を仰いだ。
企業におけるIT投資の重要性において、「IT投資が極めて重要」と考える国内企業は、2013年の調査では16%であったのに対し、17年の調査では約1.6倍となる26%へ増加した。13年に「IT投資が極めて重要」と回答した米国企業が75%だったことから、日米における差は依然としてあるものの、国内企業においては13年よりもIT投資の重要度は増加していることが明らかになった。また、CIO(最高情報責任者、Chief Information Officer)を設置する企業も増加傾向にある。
IT予算については、「IT予算が増える傾向」と回答した国内企業は2013年の調査の40%に対し、12ポイントアップの52%となった。予算増額用途の1位は13年の調査と同じく「ITによる業務効率化/コスト削減」となったが、他用途との差は今回大きく縮小した。一方で、いわゆる「攻めのIT投資」に位置付けられる「新たな技術/製品/サービス利用」(2013年:1.2%→2017年:27.6%)と「ITを活用したビジネスモデル変革」(2013年:12.9%→2017年:21.3%)が大きく増加した。
2013年の調査と今回の調査結果を全体的に比較した時、13年の調査における米国企業レベルまでは至らないまでも、国内企業におけるIT投資の重要性はおおむね上昇傾向にあることが今回の調査で明らかになった。投資対象を間う設問において、人材投資が高止まりし、設備投資やマーケティング投資が2013年並みであった一方、IT投資やR&D投資の重要度が増していることは、日本の「守りのIT投資」から「攻めのIT投資」へのシフトの兆しが見られ、広い意味でのテクノロジー投資が国内企業の成長を促進するものという認識が広がりつつあると考えられるが、まだまだ「守りのIT投資」が多いことから、より一層のシフトを加速させていくためにも、ビジネスリーダーに対するIT・デジタル投資の重要性や意識付けが必要であるとJEITAでは考えている。
JEITAは2017年度より、サイバー空間と現実空間との情報連携により、新たな価値が生まれ、社会全体の最適化がもたらされる、世界に先駆けた超スマート社会の実現「Society 5.0」の推進を事業指針として掲げている。同事業委員会としては、これらの実現のためには「攻めのIT投資」へのより一層のシフトが必要と考えており、今後も国内企業のIT部門はもちろん、非IT部門に対しても積極的な情報提供、提案活動を加速したいと考えている。ユーザー企業や団体とさまざまな情報提供の場を設ける他、JEITAの各委員会からの提言への反映、先行事例の公表、国内外視察等を通じて得た知見の公開など、幅広いビジネスリーダーに対してITの価値を訴求していく。
↧
【IT投資】JEITA、2017年国内企業の「IT経営」に関する調査結果発表
↧