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【風力発電】NEDO、稼働率向上に向けたデータベースシステム開発に着手。AIによる故障予知機能などを実装し、風車稼働率97%以上を目指す

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 日本の風力発電における資本費および運転維持費は、他国と比較して高い水準にある。台風や落雷など欧米に比べて厳しい日本の気象条件の中で長期間、安定的に風力発電事業を行い、導入量を増やすためには、風車の信頼性のみならず、発電効率の向上やメンテナンスの高度化などの技術開発による一層の発電コストの低減が求められている。そこで、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、風力発電設備の稼働率向上に向けたデータベースシステムの開発を行う風車運用高度化技術研究開発の実施者を採択した。
 同事業では、風車のダウンタイム※1および運転維持コストを低減し、風車稼働率※2を現状の87%から97%以上に向上させるための技術を確立することを目標としたデータベースシステムを開発する。具体的には、CMS※3による風車の運用データやメンテナンス、故障に関するデータを収集・蓄積するデータベース構築に向けたシステム設計と、人工知能(AI)を活用した故障予知の情報や過去事例の故障・事故からの早期復旧に関する情報などを提供するアプリケーションの設計を実施する。設計実施後、事業性が高いと評価された場合、データベースシステムの構築、運用を実施し、風力発電の運転維持費の低減を目指す。
<事業内容>
 事業名:風力発電等技術研究開発/風力発電高度実用化研究開発/風車運用高度化技術研究開発
 事業期間:2018~2020年度
 事業予算:4億円
 委託予定先:(株)風力エネルギー研究所、東京大学、産業技術総合研究所、中部大学
 実施内容:風力エネルギー研究所は、国内外の風車故障事故の実態把握および最新の研究開発などの調査を実施し、技術委員会を設置、運営する。得られた調査結果や有識者による技術委員会の結果を踏まえつつ、東京大学、産業技術総合研究所および中部大学が、国内の風力発電事業者などが利用可能な統一的なデータベースシステムの開発を実施する。
※1 ダウンタイム
 故障や定期メンテナンス実施などのために、ある装置が使用できない時間。国内で稼働中の風力発電用風車は、約7割が海外メーカー製であり、故障が生じた場合に代替部品を取り寄せるのに時間がかかるため、欧米諸国と比較して故障発生時のダウンタイムが長くなる傾向がある。
※2 風車稼働率
 年間のダウンタイムを1年の時間で割り、その値を1から差し引いた比率。
※3 CMS(Condition Monitoring System)
 風車の状態を監視するための各種センサーと、それらにより計測された数値情報を伝達・収集するシステム。風車の故障につながる異常を検知するために、風車内部の振動や温度が計測される。しかし、風車内部では正常時にもさまざまな振動が生じていることから、故障につながる異常の有無を高精度に検知するためには高度な解析が必要となる。


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