自動車リサイクル事業を展開する会宝産業(株)(石川県金沢市)を幹事企業とし、(株)アール・トーヨー(長崎県長崎市)、(株)福山セコ(広島県福山市)、(株)桃太郎部品(岡山県岡山市)らは、産業機械の設計・制御を手がける(株)リバーヘッドシステムズ(石川県金沢市)、金沢工業大学と連携し、このたび破砕・粉砕・洗浄が一体化した小型破砕洗浄機の開発に連携して取り組むことになった。リサイクル業界では初となる試みで、これまで小規模な自動車リサイクル業者では処理できず「廃車ガラ」としてシュレッダー処理されていたプラスチック部品のリサイクル資源化に挑む。
近年、プラスチックのリサイクルは世界的に関心が高まっているが、自動車のプラスチック部品は多くが焼却や埋設されているのが現状。開発グループでは同装置の開発を通じて自動車産業における「次世代循環型解体ビジネス」の世界展開を目指す。
会宝産業は事業方針として「地球規模における資源循環型社会の一翼を担う」ことを掲げ、中古自動車部品を世界86カ国へ輸出している。新興国の現地政府に対する自動車リサイクル政策の立案サポートを行うほか、リサイクル工場設備、生産工程、リサイクル技術・経営のノウハウの3点を総合した自動車リサイクルシステムを各国に提供することで、国連全加盟国が合意したSDGsの、特に「12.つくる責任 つかう責任」の達成に貢献している。
2017年にはその活動が評価され、金沢工業大学平本督太郎 SDGs推進センター長が中心となって進めている「SDGsビジネス・アワード」を受賞している。一方、金沢工業大学ではSDGsに関する各種の取り組みが評価され、内閣総理大臣を推進本部長とする第1回「ジャパンSDGsアワード」SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞を昨年12月に受賞。SDGsの推進に全学で取り組んでいる。
日本国内で廃車になる中古車は年間約350万台とも言われている。そしてそのほとんどが国内に約2500ある解体業者により解体され、鉄くず、プラスチックくず、使える部品として仕分けられている。廃車部品の中でもフロントバンパー、リアバンパーといった外装部品や、ダッシュボードやドアトリムなどの内装部品は大きくかさばり、保管や可搬に難があるという理由で、シュレッダー業者やプレスせん断処理業者の大型シュレッダーにより廃車ガラとして処理され、ASR(Automobile Shredder Residue)と呼ばれるミックスプラスチックとして焼却や埋設されているのが現状。
こうした背景から自動車リサイクル事業におけるSDGsの推進を世界規模で加速させるために考え出されたのが破砕・粉砕・洗浄一体化小型破砕洗浄機。企画構想は会宝産業が行い、同業のアール・トーヨー、福山セコ、桃太郎部品と連携して取組みを進める。設計製作はリバーヘッドシステムズが担当、金沢工業大学からはロボティクス学科の土居隆宏准教授が技術アドバイザーとして参画。
同破砕洗浄機は効率的に破砕、洗浄することでポリプロピレンやSABS樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等、再利用可能な樹脂の選別を行うことができる。またフォークリフトでの運搬も可能で、小規模な自動車リサイクル業者でも導入できるため、これまで小規模な自動車リサイクル業者では処理できず「廃車ガラ」としてシュレッダー処理されていた部品のリサイクル資源化が可能となる。さらにネットワークを介してクラウドでデータが管理されているので、どの車両のどのプラスチック素材をどれだけ回収したかがわかり、より確実な再生プラスチックの生産が可能となる。
またこれまでは再生事業者までの輸送コストが高く事業の採算性が取れないことや、再生事業者からみると中小の解体事業者からの受け入れは供給や品質の確保の面での不安から、リスクを加味した買取価格とならざるをえないという課題もあった。これに対して、同破砕洗浄機ではクラウドでデータ管理が可能で、解体業者が共同納入することで輸送コストが削減でき、また共同による価格契約の締結も可能となるため、採算性の向上に期待ができるようになる。
*この取り組みは「自動車解体業者が連携した自動車プラスチック素材再資源化促進事業」として、全国中小企業団体中央会の「平成29年度補正 ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」の助成対象にも採択されている。
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【廃車プラスチック部品】産学連携による次世代型シュレッダー装置の開発スタート。リサイクル資源化に向け
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