(一社)日本印刷産業連合会(以下、JFPI)では、地域おこしに貢献する全国各地の地方自治体・企業・大学・団体と連携する印刷産業のモデル事業の集約・共有化を図るとともに、広く社会へアピールすることで、印刷産業がリードする地方創生事業のさらなる拡大を目指し、2019年3月18日に「じゃぱにうむ2019-印刷産業の地方創生事業事例発表会-」を開催する。
2015年6月に、国内の業界団体としては初めて国連グローバル・コンパクトへの参加表明を行ったJFPIは、SDGs(持続可能な開発目標)を支持するとともに、2018年10月には、内閣府が推進する「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」にも参加し、これとの連携により、印刷産業における新たな地方創生事業の推進、活性化を図っている。
<開催概要>
■名 称 :『じゃぱにうむ2019-印刷産業の地方創生事業事例発表会-』
■開催日時 :2019年3月18日(月)14:00~17:30(参加費用無料/一般参加あり)
■会 場 :大日本印刷(株)五反田ビル1Fホール(東京都品川区西五反田3-5-20)
■開催の狙い:①印刷産業における地方創生事業の情報共有と参入機会の検討
②地方創生SDGs官民連携プラットフォーム活用による地域連携事業推進
■構成案
挨 拶:価値創出委員会委員長 滝澤光正(滝澤新聞印刷(株)代表取締役社長)
基調講演:内閣府 地方創生推進事務局 参事官 遠藤 健太郎氏
事例発表:全国の印刷会社等9社による地方創生事業に関わる事例発表(各社20分程度)
講 評:東京理科大学大学院教授 生越由美氏
※事例発表会終了後17:45より同ビル8Fレストランにてレセプション開催予定
■参加申込 :事例発表会・レセプションともに参加費無料、定員130名(満員になり次第締切り)
日印産連webサイト「じゃぱにうむ2019」申込フォームより申込み受付
■主 催 :日本印刷産業連合会価値創出委員会、同SDGs検討プロジェクト
■後 援 :内閣府(予定)
■問い合わせ:日本印刷産業連合会「じゃぱにうむ2019」事務局 info@jfpi.or.jp
<事例発表概要>
1. (株)大川印刷(神奈川県横浜市)
※「第2回SDGsアワードパートナーシップ賞」受賞企業、SDGs推進企業として招聘
テーマ:「SDGsを忘れないメモ」
メモ書きをして1枚めくるたびにアイコンが目に入るように、裏面に「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロ」などのSDGsの目標別のアイコン(絵文字)が描かれているメモ用紙。大川印刷がSDGsの認知度アップに貢献しようと製作した。
行政などのイベントで無料配布されるうちに話題となり、社員へのSDGs教育に使いたい企業から注文が入るようになった。SDGsがきっかけとなり、新規顧客と結びついた。
「印刷を生かした社会課題解決があるはずだ。社員には『印刷の仕事をしたいならCSRをしなさい』と言ってきた」という大川哲郎社長の指導のもと、紙製リングで紙をくくった卓上カレンダーも環境課題の解決の視点から生まれた自社製品。生態系や地域社会に配慮した森林資源の利用を示す「FSC」認証の紙を使用。目に不自由がある人でも読みやすいデザインにもしている。
2. ソーゴー(株)(北海道帯広市)
テーマ:移住の本「りくらす」&仕事の本「わくらす」によるUIJターン事業
北海道の魅力を月刊誌・季刊誌・ムックで発信。1954年創業、商印、事務用印刷、自費出版物等多数発刊。
・1998年「月刊しゅん」創刊、2004年「northern style スロウ」、2015年「スロウな旅北海道」、2017年「Slow Life HOKKAIDO」(マレーシア向けフリーマガジン)創刊。地域情報の発信と交流人口、関係人口拡大に向けた出版物を多数発行。
・「りくらす」は「北海道移住の本」(2010年発行)がベース。2016年春、十勝管内の各市町村に「十勝移住の本」の企画を提案。自治体から協賛金により制作。
・「わくらす」は帯広地域雇用創出促進協議会からの委託によりまとめられた本。UIJターンを促進するため、十勝の企業情報、生活情報を丹念に取材。各企業からの協賛金が収益源(一部帯広市の買い取り)。
・「りくらす」「わくらす」からの派生事業としては、
1)十勝移住・就職相談フェア(東京)の参加
2)「北海道・十勝 スロウに暮らす日々体験ツアー」実施
3)「ワークワークとかち」開設web情報発信。掲載企業数119社
3. 望月印刷(株)(東京都台東区)
テーマ:台東「モノマチ」 墨田区「スミファ」 台東区「マロニエ祭」
台東「モノマチ」は、モノづくりの街(モノマチ)「台東」を日本全国・世界にアピールし、子どもたちに継承していく事を目的に本イベントを立ち上げられたイベント。望月印刷は地区のとりまとめ役、イベントの実行委員長を務める。
墨田区「スミファ」(すみだファクトリーめぐり)は、かつて中小の工場の立ち並ぶ街並みであったが、近年マンションが立ち並び、住民同士の交流が少なくなってきていた。住人の方に地元にある様々な工場を見学してもらうことで地域住人との交流を通じて地域を元気づける取り組み。望月印刷も墨田区内の工場を2日間解放し、工場見学とワークショップを開催。
4. (株)新踏社(奈良県奈良市)
テーマ:一冊のノート開発から気づいた地元環境を守るためのアクション
「奈良の鹿愛護会」と協力し、チャリティーノート『ノーモ』(ノートとメモの中間のもの)の製作を行っていた新踏社は、鹿がビニール袋などを食べることを防ぐために奈良公園内にごみ箱が設置していない理由を訪日外国人向けにも多言語で解説した「紙袋」や「エコバッグ」を製作し、奈良公園のゴミ削減に向けた支援事業を展開。奈良県産業政策課と連携し、平成29年度ならクラウドファンディング活用支援事業に採択され、『奈良公園鹿と共生雑貨づくりファンド』として活動している。
チャリティーノート『ノーモ』(ノートとメモの中間のもの)は、他にも『日本ライトハウス盲導犬訓練所』とも連携しながら、ホテルや観光関係など新たな市場分野にも接触でき、地元の繋がりを拡大中。
5. 「トヨプラ」 (株)平山印刷(沖縄県豊見城市)
テーマ:新しいビジネス創出に向けたフレキシブルなワークスタイル事業空間を提供
沖縄県の中では2020年の大型商業施設や観光施設のオープンなどで今後益々発展が見込まれている豊崎エリアでも、地域連帯不足、認知度不足、人材不足などの地域課題があったが、街づくりのエンジンとなる「人材」「アイデア」「ノウハウ」を呼び込む、人材の受け皿となる施設を造ることが、継続性のある地域産業のプラットフォームになると考え、会議室・研修室・受付・カフェラウンジ・休憩スペース・カラー出力機・WiFiといったビジネスに必要な設備をシェア利用でき、新しいワークスタイルの提供をする施設「豊崎プラットフォームセンター(トヨプラ)」を設置した。
平山印刷は、地域のまちづくり通り会「豊崎・美らSUN会」の活動に尽力。現在も会長として積極的に地域活動を展開している。
6. (株)福豆屋(福島県郡山市)
※印刷会社ではないが、UCDA(ユニバーサコミュニケーションデザイン協会)認証を取得したお弁当パッケージによる適切な情報伝達を実践している事例として招聘
テーマ:フクシマケン食の復興支援 みんなのプロジェクト
福豆屋は、地元福島で取り組んでいる弁当事業を運営。弁当の中身の成分表示をUCDAの基本フォーマットに則って表示しているため、福島原産の野菜の表示や栄養成分、アレルギー物質表示が誰にもわかりやすくデザインされているうえ、福島県をアピールするデザインとなっている。更に、県産食材の安全性をどのように発信するか考える「フクシマケン食の復興支援・みんなのプロジェクト」に賛同し、復興への取り組みに協力してきた。
7. 共同印刷(株)(東京都文京区)
テーマ:「鳥取県西部ブランディングプロジェクト」
共同印刷が、少子高齢化が進む中「地方が生き残っていくためにはどうすればよいか」というセミナーを開催したところ、鳥取県西部商工会産業支援センターより「商工会も単体では生き残っていけないので、7つの西部商工会が一体となってブランドを構築したい」との相談を受けた(米子日吉津、伯耆町、南部町、江府町、日南町、大山町、日野町の各商工会、鳥取県西部商工会産業支援センター)。これまでそれぞれ単独で活動していた7商工会を「大山時間」というブランドでくくり、1つの商工会ブランドを構築することで、個々の対応よりも団体での力強さがあり、認知、商談の規模が高まったと喜ばれている。また、この鳥取での取り組みが他地域の自治体にも広まっており、他自治体からも鳥取モデルの引き合いが増えているとのこと。現在複数地域にて同モデルを遂行している。
8. 精英堂印刷(株)(山形県米沢市)
2018年シールラベルコンテストで日本印刷産業連合会会長賞
テーマ:宮城県の2年間貯蔵限定純米大吟醸酒「澤乃泉ふたとせ」のマーケティング戦略に向けた高精細ラベルデザイン演出力
精英堂印刷は、宮城県の石越醸造の限定純米大吟醸「澤乃泉ふたとせ」のラベルで、2018年シールラベルコンテストで日本印刷産業連合会会長賞受賞。2年間熟成貯蔵される商品の特長を表した重厚感ある仕上がりで、グラデーションの横波柄と背景に印字された月の古称などが季節の移ろいを表現。レインボー箔で桜やモミジなど季節ごとのモチーフも施し、鮮やかさも演出した。月の古称の周りを囲む有職文様は貯蔵開始日から2年間の月日を羅列。0.02mmの細さで刻まれた「マイクロ文字」はインキがにじまない「水なし印刷」によって、高い精度で輪郭を表現するなど、高精細な技術を用いて、高級酒のマーケティング戦略に貢献。地元企業のブランディングに寄与した。
9. (株)興栄社(東京都江東区)
テーマ:東京都神津島村における、桑の枝を使った和紙作りおよび葉を使った土産作り
農地改革まで盛んであった養蚕業が無くなり、桑の木が野放しになっている事を聞き桑の木を利用し島民による島の特産品製造を計画。その特産品を島内の土産物屋で販売し、その利益を配分する仕組み提案。東京都中小企業振興公社「平成28年度東京都地域中小企業応援ファンド助成事業」に採択され、独自の活動を開始。
1)「四つ子のグラノーラ」製造・販売
「四つ子のグラノーラ」=桑の葉・あしたば・パッションフルーツ・いかがそれぞれ入った4種類のシリアル。島内4店舗と、村役場・商工会が都内での観光物産展で販売
2)神津島小学校・来島者向けの「多幸湧水」を利用した和紙の紙漉き体験の実施
3)桑和紙名刺の製造~枝落とし、繊維採取、和紙作り、ストック体制等活動中
http://www.tako-papermill.com/index.html