国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業において、助成事業者として選定された大崎クールジェン(株)※1は、石炭火力発電から排出される二酸化炭素(CO2)を大幅に削減するため、究極の高効率石炭火力発電技術である石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)※2とCO2分離・回収技術を組み合わせた革新的な低炭素石炭火力発電の実現を目指す「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)実証事業」(大崎クールジェンプロジェクト)に取り組んでいる。
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IGFC実証事業は、酸素吹IGCC※3実証(第1段階)、CO2分離・回収型酸素吹IGCC※4実証(第2段階)、CO2分離・回収型IGFC※5実証(第3段階)で構成され、中国電力(株)の大崎発電所構内に17万kW規模の実証試験設備を建設した。2017年3月から開始した実証試験では、ガス化炉で石炭粒子をガスにして1300℃級のガスタービンを動かすと同時に、そこから発生する熱を利用して蒸気タービンを動かして複合的に発電し、石炭火力発電システムとしての性能や運用性、信頼性、経済性について検証を行い、1300℃級ガスタービンを適用した酸素吹IGCCにおいて送電端効率※640.5%(HHV:高位発熱量基準)の達成などを目指した。
2017年3月に実証試験を開始して以降、約2年間にわたり、酸素吹IGCCプラントの商用化を見据え、基本性能や制御性・運用性などの検証を行った結果、第1段階の全ての試験項目で目標を達成した。発電効率においては、17万kW規模の実証プラントとしては世界最高レベルの効率となる送電端効率40.8%(HHV)を達成し、商用機での送電端効率約46%の達成に見通しが立った。
今後も第2段階のCO2分離・回収型酸素吹IGCC実証、第3段階のCO2分離・回収型IGFC実証に引き続き取り組み、革新的低炭素石炭火力発電の実現を目指す。

IGFC実証事業は、酸素吹IGCC※3実証(第1段階)、CO2分離・回収型酸素吹IGCC※4実証(第2段階)、CO2分離・回収型IGFC※5実証(第3段階)で構成され、中国電力(株)の大崎発電所構内に17万kW規模の実証試験設備を建設した。2017年3月から開始した実証試験では、ガス化炉で石炭粒子をガスにして1300℃級のガスタービンを動かすと同時に、そこから発生する熱を利用して蒸気タービンを動かして複合的に発電し、石炭火力発電システムとしての性能や運用性、信頼性、経済性について検証を行い、1300℃級ガスタービンを適用した酸素吹IGCCにおいて送電端効率※640.5%(HHV:高位発熱量基準)の達成などを目指した。
2017年3月に実証試験を開始して以降、約2年間にわたり、酸素吹IGCCプラントの商用化を見据え、基本性能や制御性・運用性などの検証を行った結果、第1段階の全ての試験項目で目標を達成した。発電効率においては、17万kW規模の実証プラントとしては世界最高レベルの効率となる送電端効率40.8%(HHV)を達成し、商用機での送電端効率約46%の達成に見通しが立った。
今後も第2段階のCO2分離・回収型酸素吹IGCC実証、第3段階のCO2分離・回収型IGFC実証に引き続き取り組み、革新的低炭素石炭火力発電の実現を目指す。
実証試験の主な成果
(1)基本性能(プラント性能)
17万kW規模の実証プラントとしては世界最高レベルの性能となる送電端効率40.8%(HHV)を達成したことにより、さらなる高効率化が図られる1500℃級ガスタービンを採用する商用機(50万kW規模)での送電端効率約46%達成の見通しが得られた。また、発電効率が向上することで、高効率な石炭火力発電の商用機として現在普及している超々臨界圧微粉炭火力(USC)※7と比べて、CO2の排出量を15%程度削減することが期待できる。
(2)プラント制御性・運用性
目標を大幅に上回る負荷変化率※8最大16%/分を達成するとともに、送電端出力0MW※9での安定運転を確認し、発電出力を機動的に制御することが可能であることを確認した。導入拡大が進む再生可能エネルギーなどの急激な出力変動に対応する電源としても活用できる運用性の高さも確認した。
(1)基本性能(プラント性能)
17万kW規模の実証プラントとしては世界最高レベルの性能となる送電端効率40.8%(HHV)を達成したことにより、さらなる高効率化が図られる1500℃級ガスタービンを採用する商用機(50万kW規模)での送電端効率約46%達成の見通しが得られた。また、発電効率が向上することで、高効率な石炭火力発電の商用機として現在普及している超々臨界圧微粉炭火力(USC)※7と比べて、CO2の排出量を15%程度削減することが期待できる。
(2)プラント制御性・運用性
目標を大幅に上回る負荷変化率※8最大16%/分を達成するとともに、送電端出力0MW※9での安定運転を確認し、発電出力を機動的に制御することが可能であることを確認した。導入拡大が進む再生可能エネルギーなどの急激な出力変動に対応する電源としても活用できる運用性の高さも確認した。
今後の予定
第2段階(2016~2020年度)では、第1段階の酸素吹IGCC実証にCO2分離・回収装置を追設したCO2分離・回収型IGCCの実証試験を行い、更なるCO2排出削減に取組む。現在、2019年度中の実証試験開始を目指し、建設工事を進めている。
さらに、プロジェクトの最終段階である第3段階(2018~2022年度)では、CO2分離・回収型IGCC設備に燃料電池を組み込んだCO2分離・回収型IGFCの実証事業を計画しており、50万kW規模の商用機に適用した場合に、CO2を90%以上回収したうえで47%程度の送電端効率達成を目指す。
第2段階(2016~2020年度)では、第1段階の酸素吹IGCC実証にCO2分離・回収装置を追設したCO2分離・回収型IGCCの実証試験を行い、更なるCO2排出削減に取組む。現在、2019年度中の実証試験開始を目指し、建設工事を進めている。
さらに、プロジェクトの最終段階である第3段階(2018~2022年度)では、CO2分離・回収型IGCC設備に燃料電池を組み込んだCO2分離・回収型IGFCの実証事業を計画しており、50万kW規模の商用機に適用した場合に、CO2を90%以上回収したうえで47%程度の送電端効率達成を目指す。
<注釈>
※1 大崎クールジェン(株)
中国電力(株)と電源開発(株)の共同出資会社。
※2 石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)
石炭をガス化して、燃料電池、ガスタービン、蒸気タービンの3種類の発電形態を組み合わせて複合発電を行う発電方式のことです(Integrated Coal Gasification Fuel Cell Combined Cycle)。
※3 酸素吹IGCC(酸素吹石炭ガス化複合発電)
石炭をガス化して、ガスタービン、蒸気タービンの2種類の発電形態を組み合わせて複合発電を行う発電方式(Integrated Coal Gasification Combined Cycle)には、石炭ガス化炉に酸素を供給する酸素吹方式と空気を供給する空気吹方式がある。CO2分離・回収設備と組み合わせる場合には、酸素吹方式の方がエネルギー効率的に優れているとされる。
※4 CO2分離・回収型酸素吹IGCC
CO2分離・回収設備を備えた酸素吹IGCCのこと。
※5 CO2分離・回収型IGFC
CO2分離・回収設備を備えたIGFCのこと。
※6 送電端効率
発電効率には、発電端効率と送電端効率があり、発電端効率は発電機端子で計測した電力量を用い、送電端効率は発電機端子で計測した電力量から実際の所内電力(発電に必要な全補機動力)を差し引いた電力量を用いて算出する。
※7 超々臨界圧微粉炭火力(USC:Ultra Super Critical)
従来使用されている発電方式で、石炭を細かく砕いた微粉炭をボイラにて燃焼し、得た熱から600℃程度の蒸気を作りスチームタービンで発電する方式。送電端効率は40%程度で、負荷変化率は1~3%程度。
※8 負荷変化率
1分間当たりの定格負荷に対する発電出力変化の割合。負荷変化率が高いほど電力需要の変動に応じて迅速に出力を調整することができる。
※9 送電端出力0MW
発電機の出力をそのまま表示したものが発電端出力で、発電端出力から所内電力(発電に必要な全補機動力)を差し引いたものが送電端出力。送電端出力0MWは所内電力量分のみ発電している状態。
※1 大崎クールジェン(株)
中国電力(株)と電源開発(株)の共同出資会社。
※2 石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)
石炭をガス化して、燃料電池、ガスタービン、蒸気タービンの3種類の発電形態を組み合わせて複合発電を行う発電方式のことです(Integrated Coal Gasification Fuel Cell Combined Cycle)。
※3 酸素吹IGCC(酸素吹石炭ガス化複合発電)
石炭をガス化して、ガスタービン、蒸気タービンの2種類の発電形態を組み合わせて複合発電を行う発電方式(Integrated Coal Gasification Combined Cycle)には、石炭ガス化炉に酸素を供給する酸素吹方式と空気を供給する空気吹方式がある。CO2分離・回収設備と組み合わせる場合には、酸素吹方式の方がエネルギー効率的に優れているとされる。
※4 CO2分離・回収型酸素吹IGCC
CO2分離・回収設備を備えた酸素吹IGCCのこと。
※5 CO2分離・回収型IGFC
CO2分離・回収設備を備えたIGFCのこと。
※6 送電端効率
発電効率には、発電端効率と送電端効率があり、発電端効率は発電機端子で計測した電力量を用い、送電端効率は発電機端子で計測した電力量から実際の所内電力(発電に必要な全補機動力)を差し引いた電力量を用いて算出する。
※7 超々臨界圧微粉炭火力(USC:Ultra Super Critical)
従来使用されている発電方式で、石炭を細かく砕いた微粉炭をボイラにて燃焼し、得た熱から600℃程度の蒸気を作りスチームタービンで発電する方式。送電端効率は40%程度で、負荷変化率は1~3%程度。
※8 負荷変化率
1分間当たりの定格負荷に対する発電出力変化の割合。負荷変化率が高いほど電力需要の変動に応じて迅速に出力を調整することができる。
※9 送電端出力0MW
発電機の出力をそのまま表示したものが発電端出力で、発電端出力から所内電力(発電に必要な全補機動力)を差し引いたものが送電端出力。送電端出力0MWは所内電力量分のみ発電している状態。