ユニ・チャーム(株)は、明治大学 研究・知財戦略機構の萩原一郎 特任教授らと共同で、「折紙工学」を応用してフィットを高めたベビー用紙おむつの研究を行った。
その結果、赤ちゃんのからだに合わせて変形する吸収体を開発した。
■研究の背景
低月齢期特有の「ゆるうんち」は、紙おむつのすきまやズレによって、モレが多く発生している。こうしたモレを低減するため、付け方を工夫されていますが、人によってモレ率が変化する実態があった。
そこで同社はこの度、新たな着眼点として、明治大学 研究・知財戦略機構の萩原特任教授らが研究する「折紙工学」に着目し、赤ちゃんのからだに合わせた紙おむつの形状に焦点をあてて研究・開発を行った。
■研究の方法
①赤ちゃんのドールを用いて、胴回りと股間周辺を3Dスキャンし、立体データへ変換した。
②この立体データをパーツに展開して、2次元化した。
・展開したパーツから、特に「複数のパーツで構成される股間部分」に注力し分析した。
■研究の結果
③股間部分に集合する複数のパーツを組み合わせ、成型した。
その結果より、
・股間部分に「身体の内側に向かって(複雑な)凸形状が密集」していることを発見した。
・お腹側に「1つの凸状の頂点ができる」ことを発見した。
【折紙工学による研究の結果を製品化するための考察】
赤ちゃんの股間幅は大人に比べて非常に狭く、股間部の中央部はサイド部よりも身体の内側に向かって凸状に盛り上がっていることが確認できた。また、お腹側には各山折り線が集まり身体の外側に向かって1つの頂点が現れることが確認できた。
この研究結果から、厚みのある吸収体を自由自在に変形可能なものにするためには、厚み調整やスリット、エンボスなどによって、狭い股間でも可変可能な領域を持つ“変形してコントロール可能な吸収体の工夫”が必要と考えられる。
同社は今回の研究結果を活かし、誰が装着してもからだにフィットして、しっかり漏らさずキャッチできる紙おむつの開発につなげていく方針だ。