ダイヤモンド電機(株)は、インバータに必須であるコンデンサの静電容量を7%にまで低減する、電解コンデンサレス技術を開発した。本技術により、インバータの長寿命化・高温対応化・薄型化が可能となり、電気自動車(EV)用充電器、パワーコンディショナ、蓄電システムといった省エネルギー機器の普及に貢献する。
温暖化対策として、省エネルギー機器(以下、省エネ機器)の必要性が世界的に高まる中、同社は中期経営計画「DSA2021」にて、省電力を具体的指針として掲げている。省エネ機器には一般的にインバータやPFC※1が利用されており、これらには大容量のコンデンサとして電解コンデンサが用いられている。電解コンデンサは部品寿命が短いため、機器の寿命を制限する要因となっている。
そこで、同社は独自の制御技術とパワーエレクトロニクス設計技術を盛り込んだ、電解コンデンサレス技術を開発した。本技術により、インバータやPFCに必要な静電容量を約7%にまで低減することで、セラミックコンデンサやフィルムコンデンサの使用が可能となる。同社ではセラミックコンデンサを使用することで長寿命化・高温対応化・薄型化を実現し、電解コンデンサ使用時に対して約15%の体積低減を見込んでいる(同等性能比※2)。
本技術ではアクティブパワーデカップリング(APD)方式を採用しているが、一般的なAPD方式での電解コンデンサレスの実現にはインバータやPFCの変更が必要となる。今回、同社は独自の制御を開発し、インバータやPFC回路の変更をせずに電解コンデンサレス技術を採用することが可能となった。これにより既存システムをそのまま使用しながらも、電解コンデンサレスを実現することができる。
また、次世代素子である窒化ガリウム(GaN)パワー半導体を使用することで、損失を低減し、システムの全体の効率にも寄与する。
※1 PFC:高調波電流の抑制や力率改善を行うための整流回路の方式
※2 同等性能:インバータ出力が1 kVA, 力率0.99の時の脈動電圧を比較した場合
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【省エネ】ダイヤモンド電機、電解コンデンサレス技術を開発
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