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【K2019】日精樹脂工業、PLA製シャンパングラスを成形実演

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 日精樹脂工業(株)は、10月16日~23日まで、ドイツ・デュッセルドルフで開催される世界最大級のプラスチック・ゴム産業展「K2019」において、環境負荷を減らし持続可能な社会を実現するための環境対応技術、また、顧客が抱える「成形加工における煩わしさ」を解決するためのソリューション技術など、最新の射出成形機と成形システムによる成形実演で多彩な提案を行う。ブースは、ホール13のC93。
 K2019では、「Injection for Innovation 継承から革新へ」をメインテーマに、1947年の創業以来累計13万台を超える販売実績から蓄積してきた技術ノウハウを継承しつつ、さらに新たなシーズに基づく技術開発や従来技術のブラッシュアップによって成形現場に革新をもたらすような各種ソリューション技術を提案する。
 具体的には、日頃ユーザーが成形現場で抱えている課題や今後の成形業界におけるトレンドを捉える上でヒントとなるようなテーマとして、「環境対応技術」「自動化・省力化」「IoTによる工場管理」などの視点に立った成形実演を行う。
 出展内容のダイジェストは以下の通り。
(1)環境対応技術
 持続可能な資源循環型社会の実現や脱炭素による地球温暖化抑制に向けた取り組みとして、植物由来の環境対応素材「ポリ乳酸(PLA)」の用途を拡大する射出成形技術を実用化、同技術を搭載した射出成形システムを出展する。
 海中を漂うマイクロプラスチックやプラスチックごみが世界規模での課題となっている中、世界各国でレジ袋や使い捨てプラスチック容器に対する規制が強化されている。ただし、環境意識の高いヨーロッパでも廃プラスチックの処理方法は、1)埋立て、2)廃プラスチックを燃料として焼却し、その時に発生する熱エネルギーを回収・利用するサーマルリサイクルが大半を占めている。
 日精樹脂工業は、資源の有効利用の手段として最も普及している、3R(Reduce, Reuse, Recycle)とは異なるアプローチとして、植物由来でかつ生分解性を有するプラスチックの利用促進を積極的に展開している。生分解性樹脂の場合、廃棄処理はコンポスト化によって生分解処理され自然界に還ることから、プラスチックごみの海への流出を防ぐことが可能となる。
 生分解性樹脂の中でも、石油系プラスチックに代わる素材として有望視されているのがPLAだが、耐熱性と耐衝撃性が低い点(耐熱温度は60℃前後)、また流動性や離型性が悪く深物成形や薄肉成形が難しい点が課題となっており、射出成形での用途はまだ限られている。
 そこで同社は、ディスポーザブル用途のプラスチック容器を石油系の素材からPLA100%に置き換えることを視野に、射出成形による薄肉容器成形技術を開発、実用化した。通常のPLA成形では、流動性が著しく低いため、薄肉成形ではショートショットが発生しやすくなるが、新技術では、超臨界状態のCO2を溶融状態のPLAに混入し射出することで流動性を確保し、射出成形では世界最薄レベルの0.65mmの薄肉容器成形を実現、しかも優れた透明性を確保した。
SnapCrab NoName 2019 10 11 7 40 55 No 00 R 展示会場で成形実演を行うPLA製の薄肉容器(シャンパングラス)は、今年8月28日~30日まで、横浜市で開催されたアフリカ開発会議(TICAD7)において、アフリカ各国の首脳など同会議への参加者全員に配布された。
(2)IoT技術
 第4次産業革命ともいわれるIoTへの対応として、日精樹脂工業は「N-Constellation」を提唱している。これは、IoT技術を活用し高品質な製品を提供するための社内自動検査システムなど、顧客の成形工場のスマート工場化に貢献する対応技術だが、同時に同社製成形機を制御する日精コントローラの第4次技術革新「NISSEI 4.0」と位置付けて取り組みを加速させている、同社のIoT技術開発におけるテーマの1つでもある。
 K2019では、「見える化からサポートへ、繋がるから活用へ」をテーマに、成形機を軸にあらゆる周辺機器をネットワーク化し、単に「見える」「繋がる」だけではなく、収集したデータを有効活用することで、顧客が利益を創出するスマート成形工場の実現に向けた提案を行う。
 N-Constellationの主な特長は次の通り。
1)欧州共通MES通信規格Euromap77への対応(Basic)、周辺機器接続規格Euromap82.x・86・79への容易な対応を可能とする、OPC UAを標準搭載した新コントローラTACT5を開発。
2)Euromapの各通信規格対応やEtherCATの採用により、取出ロボット・材料供給装置をはじめとするあらゆる周辺機器のネットワーク化が可能。
3)これによって、接続された周辺機器の設定条件も成形条件として一元管理することで、作業者負荷を低減及び効率化を図るとともに、省配線化によるカプラや線材といった使用材料の低減(環境負荷低減)にも貢献できる。また、保守面においてもダウンタイムの削減に繋がるリモートメンテナンスが可能になるほか、将来的にはAIによる成形条件の最適化や成形不良対策、歩留まり向上による生産性の向上、消耗部品の寿命予測、設備機器の故障診断などが可能な「スマート成形工場」を実現できる。


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