エボニック(本社:ドイツ、エッセン)のコーティングアディティブス事業部門は、SPHERILEX®湿式シリカ*技術の導入を開始しした。この製造プロセスでは、ユニークな球状粒子形態を持つ材料が作られ、従来のシリカでは実現できなかったコーティング材の効果を生み出すことができる。湿式反応プロセスの 条件を変えることにより、pH、表面積、細孔容積といった構造的または形態面 での効果など、最終製品の多くの要素をコントロールすることができる。
エボニックはこの技術を利用し、塗料およびコーティング材に使用する 3つの新製品「SPHERILEX®DP-0111」「SPHERILEX®DP-0112」 「SPHERILEX®DP-0115」を開発した。
耐研磨性および耐湿潤摩耗性は、現代の建築用塗料の配合において重要な課題であり差別化の要因になるが、既存の充填剤や配合処法では差別 化した製品開発が難しいのが現状となっている。
これらの性能は、充填剤の粒子形態やフィルムの表面特性に直接関係する。エボニックは製造プロセスを向上させ、次のような特徴を備えた今までにない合成シリカの生産に成功した。
• 独特な球状粒子形態
• 狭い粒子分布
• 非常に小さい表面積と低多孔性 さらに、規制や様々な課題の影響で、配合可能な材料の選択肢の幅が狭まっている。例えば溶剤には、ポリマーを軟化させ、より自由に流動させることで塗料中の顔料粒子を取り囲み湿らせる効果があり、そのためバインダーの結合能力を高めることができる。しかし、VOC(揮発性有機化合物)排出量削 減の必要性から、市場ではこのような溶剤を配合した塗料は敬遠されてきており、設計者は配合に含まれる固形分に必要なバインダー量を最小限に抑える新たな方法の模索を強いられている。
SPHERILEX®は、独自の特性を備えた新しい機能性シリカおよびシリケート製品で、これを使用することにより、塗料の配合に関するこれらの課題を解決し、設計者はこの画期的な合成シリカテクノロジーに新たな価値を見い出すことができる。
*湿式シリカは、塗料およびコーティング材の優れた艶消し剤として広く知られている。ただし、その特性は、粒子サイズ、粒度分布、粒子形態など、多くの差別化要因によって決まる。つまり、これらの要素を制御することで、湿式シリカの特性や効果を自由に設定することできる。