JFEエンジニアリング(株)の子会社であるJ&T環境(株)と、協栄産業(株)は、PETボトルリサイクルレジン※1製造合弁会社を設立した。
昨今のプラごみによる海洋汚染問題への対応や、持続可能な社会実現のため、飲料メーカー各社は2030年度までに、PETボトルの原料を石油由来樹脂からリサイクルPETレジンにシフトしていくと宣言している※2。このような状況を踏まえ、日本で初めてメカニカルリサイクル※3によるボトルtoボトル(BtoB)※4技術を確立した協栄産業と、長年にわたり同社へ原材料を供給してきたJ&T環境は、その実現に貢献すべく合弁会社を設立し、新工場を建設する。新工場はPETボトルリサイクルレジン製造工場としては国内最大級で、JFEエンジニアリンググループと協栄産業グループにとって初の中部・関西圏の拠点となる。
2011年にスタートした「飲み終わったPETボトルをもう一度PETボトルに戻す」、いわゆるボトルtoボトルは、リサイクル技術を一層高度化させ、ゴミを出さず焼却の必要がない完全循環モデルとして、廃PETボトル問題解決に大いに貢献している。 そのため容器メーカーや飲料メーカーは、従来使用してきた石油由来樹脂をリサイクルレジンに切り替える取組拡大を、近年そろって表明している。
リサイクル原料の2030年における国内目標量合計は現市場規模の約7倍に当たる40万トンともいわれているが、本合弁会社はその取組を原料供給の面から力強く支えていくことを第一の目的としている。 また、世界を魅了するトップアスリート達が着るユニフォームの原料としても近年リサイクルPETレジンが多く使われるが、これには他国に無いきれいな国内回収PETボトルと私たちの高度な異物除去技術、そして国内繊維メーカーの優れた製糸技術が不可欠である。こういった日本の優れた文化や技術が生かされる用途への原料供給も重要な目的の一つと位置づけている。
なお、この合弁会社は、コンプライアンスを遵守した透明性の高い企業活動を展開し、顧客との信頼関係を構築することを事業運営の基本とする。上記目的達成のために事業を推進する中で、CO2排出量の削減や枯渇性天然資源の使用量抑制に貢献し、持続可能な社会作りに役立てるよう努めていく。さらに、日本国内での新工場建設の水平展開および海外での事業展開を図り、業界トップの企業となることを目指す。
※1ペットボトルをリサイクルするため、破砕、洗浄、乾燥したものがフレーク、フレークを溶かして品質を均一化した粒状のものがペレット、ペレットから水分を取り除いたものがレジン(樹脂)
※22018年11月 清涼飲料水業界「プラスチック資源環境宣言」より
※3メカニカルリサイクルとは、マテリアルリサイクル(使用済みの製品を粉砕・洗浄などの処理をして、新たな製品の原料とすること)で得られた再生樹脂を、さらに高温、減圧下で一定時間の処理を行い、再生材中の不純物を除去する方法。
※4使用済みペットボトルを原料としてペットボトルを再生すること