日本アビオニクス(株)は、サーモグラフィカメラに世界初のカメラヘッドが脱着する構造を備えた新製品「Thermo FLEX(サーモフレックス)F50」(以下、F50)シリーズを、9月中旬より顧客向けに順次納入する。
同社は1971年以来サーモグラフィカメラの開発を手掛け、国内のリーディングカンパニーとして2016年までに50機種を超える製品を展開してきた。サーモグラフィカメラの使用現場を調査して浮き彫りになった様々な課題をF50が4つの要素からなる新コンセプト「FREE STYELE」で解決する。
新コンセプト「FREE STYELE」を構成する4つの要素
1.アングルフリー機構(世界初カメラヘッド脱着型)
1)カメラヘッドとコントローラが簡単に回転・分離できるので、全方位で安全かつ楽な作業姿勢で、狭小空間も測定可能。撮影時以外は両手も自由になるため、作業員の安全も確保しやすくなる。
2)小型カメラヘッドとコントローラを市販アクセサリーに取り付けて使用することができ、使用シーンが大きく広がる。
2.フォーカスフリー広角レンズ
1)広角70°/35°の2種類のレンズバリエーションで、配管や設備の裏側を広範囲に映し出すことが可能。撮影者の手から50m先のビルまでピントがずれないので、フォーカス調整をする必要がない。
2)70°の広角レンズなら、狭い通路でも配電盤の全体像を1回の撮影で確認・記録することができる。
3.小型カメラヘッドの耐環境温度性能
カメラヘッドは“70℃“の耐熱設計のため、従来機種では行えなかった恒温槽内に入れての計測が可能。これまで約半日かかっていた熱環境試験に使用される恒温槽内への熱電体の貼り付け作業が不要となる。カメラヘッドを恒温槽の中に入れてコントローラで外から簡単に操作できる。
4.タッチパネル操作
1)温度スケール設定、ポイント移動、ズーム表示、可視合成の調整などをスマートフォン感覚のタッチパネル操作で行うことができる。頻度の高い操作はボタン操作もでき、手袋をしたままでも操作できる。
表示モードは4モード
・Liveモード:測定中の画像をリアルタイムに表示
・プレビューモード:記録画像をプレビュー形式で表示
・サムネイル:複数の記録画像をタイル形式で表示
・編集モード:記録画像に対して温度計測や表示を変更
2)タッチパネル操作を活かして温度スケールの設定を効率化する新機能「オートポイント」を標準搭載した。温度スケールの設定・調整は、サーモグラフィ操作において初心者がもっとも苦労する操作であったが、「オートポイント」タッチ操作でスケールの上限・下限となる場所を指定することで、誰でも簡単に温度スケールの調整が行える。
その他の先進機能
新アルゴリズム「スカイオフ」を標準搭載(特許出願中)
閾値以上/以下の温度値を無視して、オートスケールの上限・下限値を決めることができる。例えば、「5℃以下を無視する」という設定をすると、空や雲を無視して温度スケールを設定できる。屋外での温度スケール設定では空や雲の温度に、自動設定が引っ張られてしまい、正確な計測ができないことが課題となっている。スカイオフがこの課題を解決する。
画像を90°回転
配管の裏や狭い場所にカメラを回り込ませて測定するときは、無理な体勢をとることなく、画面を回転させて確認しながら正確に測ることができる。
瞬間を逃がさない連写記録(オンラインモデル/スタンダードモデルのみ)
撮影アングルが厳しい場所の測定や不安定なポジションでも、連写機能を使って後からベストな1枚を選択することができる。
自在にトリミング可能な可視像合成表示
着目した箇所のみ画面上で合成範囲をトリミングしたり、スライドゲージでいつでも透過合成比率を変えたりすることができる。
暗所を照らすLEDライトを搭載
暗い場所での撮影時は、LEDライトで対象物を識別でき、可視画像を明るくする。
温度計測用オブジェクトは5種類
・熱画像内の最高および最低温度をサーチする自動追尾ポイント(2ポイント)
・任意の点の温度を測定するポイント(5ポイント)
・任意の点の温度を測定するポイント(1エリア)(オンラインモデル/スタンダードモデルのみ)
・任意の領域の温度を測定するエリア(1エリア)(オンラインモデル/スタンダードモデルのみ)
ラインプロファイル機能を搭載(オンラインモデル/スタンダードモデルのみ)
ラインプロファイル機能により、温度の購買をその場でグラフ化する。温度値だけでは読み取れないわずかな温度差を視覚化することができる。
新機能 温度トレンドグラフ機能を搭載(オンラインモデル/スタンダードモデルのみ)
時系列で温度変化を記録する温度トレンドグラフ機能を搭載。PCに接続せず、温度変化をその場で時系列で温度変化を記録できるため、解析作業を大幅に効率化できる。また、トレンドグラフのプロットデータCSV形式で保存できるため、Microsoft Excelなどでトレンドグラフを即再現できる。
リアルタイム転送(オンラインモデルのみ)
USB2.0により最大7.5Hzで熱画像と可視画像をPCに同時転送する。オプションソフトウエア「InfReC Analyzer NS9500 Professionak」によるオンライン解析も可能。
ラインアップ・価格
ベーシックモデル(機能限定版)
型式:F50A-BAS/F50B-BAS
視野角:35°/70°
希望小売価格(税抜き):45万円
スタンダードモデル(標準機能版)
型式:F50A-STD/F50B- STD
視野角:35°/70°
希望小売価格(税抜き):55万円
オンラインモデル(リアルタイム転送付き)
型式:F50A-ONL/F50B- ONL
視野角:35°/70°
希望小売価格(税抜き):65万円