大日本印刷(株)は、射出成形と同時にその熱圧を利用して樹脂成形品と加飾フィルムを貼り合わせる射出成形加工(同時加飾成形加工)において、表面の凹凸(テクスチャー)で、さまざまな触感も付与できる新型の加飾フィルムを開発した。視覚効果に加えて“触感”を付与できる新たな加飾フィルムとして、自動車などの内装材向けに発売する。
【背景】
DNPは、事業の成長領域の1つに「住まいとモビリティ」を掲げ、自動車関連事業の拡大に取り組んでいる。自動車の内装材向けには、同時加飾成形加工(インサート工法・サーモジェクト工法)用や、射出成形後に加飾加工するカールフィット工法に対応した、木目や金属などのデザインの加飾フィルムを国内外の自動車メーカーに供給している。近年、この内装材に対するメーカーや生活者からのニーズは年々高まっており、デザインの視覚効果だけでなく、高級感や安らぎ、手触りや独自性など、さまざまな効果が求められるようになっている。
それに対し、同時加飾成形加工においても、視覚効果は言うまでもなく表面のテクスチャーを手触りで確認できる“触感”を付与できる新たな加飾フィルムを開発した。
【新型加飾フィルムの特長】
これまで同時加飾成形加工では、熱と圧力によって加飾フィルムが金型に押し付けられるため、表面に形成されたテクスチャーが消えてしまい、触感を得るのが困難だった。触感を付与する加工法には、樹脂成形品ができた後に大きな熱圧をかけずに加飾する真空圧空成形があるが、今回、自動車の内装材で主流となっている同時加飾成形加工で触感を付与できる加飾フィルムを開発した。
フィルム構成を見直し、熱圧を吸収する保護層を設けることにより、同時加飾成形の加工後でも表面のテクスチャーを維持し、触感を付与することが可能。
主流の製造方法としてコスト面で優れている既存の同時加飾成形加工に対応しており、従来と比べて、低コストで触感を付与することができる。
金型でテクスチャーを成形する方法と比較して、加飾フィルムを変えることでさまざまなパターンのテクスチャーを付与することが可能となり、柄の自由度が向上する。
新型加飾フィルムの断面図
同時加飾成形加工でも凹凸を保つ新型加飾フィルムの製造プロセス
成形工程において、熱と圧力を加飾フィルム表面の保護層が吸収し、成形後に表面保護層を除去することで、フィルム表面の凹凸を維持した成形品が完成する。
DNPは、今回開発した新型の加飾フィルムを、自動車やバス、航空機などのモビリティ向けに販売し、2020年度に年間50億円の売上を目指す。また製品は、1月18日(水)~20日(金)に東京ビッグサイトで開催する「オートモーティブワールド」のDNPブースで紹介する。