アラブ首長国連邦(UAE)が主催する先駆的なグローバル・アワード、「ザーイド・サステナビリティ賞」は2020年度の応募受付を開始した。革新的(イノベーション)で、影響力(インパクト)があり、インスピレーションにあふれる持続可能な開発ソリューションを対象とするこの世界的な賞は、アジア圏の企業や団体、高校を対象に、保健、食品、エネルギー、水資源、グローバル・ハイスクールの5部門において応募受付を開始した。 応募の締め切りは2019年5月30日。
ザーイド・サステナビリティ賞は、生涯を通してグローバルな持続可能性および人道支援開発の重要性を唱えていた、アブダビ首長国の建国の父である故シェイク・ザーイド・ビン・スルターン・アール・ナヒヤーン氏に着想を得て創設された。2008年の創設以来、同賞を受賞したソリューションは、3億1800万人を超える世界中の人々の生活に直接的・間接的な影響を与えてきた。ザーイド未来エネルギー賞として知られていたこの賞は2018年4月に、エネルギーソリューションを中心とした賞から、グローバル・サステナビリティを優先課題へと対象を拡大するために、ザーイド・サステナビリティ賞として新たに創設された。
アジア圏における過去の受賞者には、インドのSECMOLやKalkeri Sangeet Vidyalayaなどの革新的な学校や非営利組織(NPO)のIDEI、Orb Energyなどが挙げられる。その他にも、インドネシアのコペルニク(Kopernik)、中国のBYD、シンガポールのECOSOFTT、韓国の韓国科学英才学校(Korea Science Academy–KAIST)を始めとする多くの企業、団体、教育機関などが受賞している。 昨年の受賞者:2019年1月の年間受賞式典
昨年のファイナリスト
ザーイド・サステナビリティ賞の5部門は、国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」と密接に連携している。恵まれない地域を活性化するソリューションを持つ中小企業、NPOやそれに類する組織に加えて、グローバル・ハイスクール部門では、次世代のサステナビリティ・リーダーとなる世界中の若者に持続可能性についての意識を呼び起こすことも目的としている。
グローバルなサステナビリティ・ソリューションを牽引するアジア圏の重要性について、ザーイド・サステナビリティ賞のディレクター、ラムヤ・ファウワズ博士は次のように述べている。
「アジアにおける持続可能な開発の勢いは増しており、より多くの国々が地域や都市部における持続可能性と連携した取り組み強化の必要性を認識しつつあります」「過去数年間におけるアジア圏からの応募内容の質の高さは、この賞が目指す人道的な影響の実現に沿った新技術の利用や革新的かつ持続的なソリューションの実施など、アジア圏における先駆的な取り組みを反映したものとなっています」
応募内容の活動範囲は多岐に及び、数多くの受賞の中には次のようなソリューションや学校プロジェクトがある。農村地域における医療技術へのアクセス促進、食糧安全保障の改善および持続可能な農業の推進、無電化地域へのエネルギーアクセスの促進、安全かつ手頃な価格の飲料水および衛生ソリューションの提供、教育・研修・擁護の強化など。
ザーイド・サステナビリティ賞の評価は、厳正な3段階のプロセスにより行われる。第1段階では、定評ある国際的な研究調査機関が独自に適正評価を行う。第2段階では、業界の専門家により構成される選考委員会が評価を行い、最終候補者リストを作成。第3段階では、審査員が全5部門の受賞者を選定。グローバル・ハイスクール部門に関しては、世界6地域の高校が、各地域で1校ずつ選定される。世界6地域は、南北アメリカ、サハラ以南のアフリカ、中東および北アフリカ、欧州および中央アジア、南アジア、東アジアおよび太平洋地域となる。
保健、食品、エネルギーおよび水資源部門のザーイド・サステナビリティ賞の評価は、以下の3つの評価基準に基づいて行われる。
・影響力(インパクト):人々の生活の質に顕著で具体的な成果があること。
・革新(イノベーション):「現状」を変える明確な特徴と、良い意味での破壊的効果および変革の機会を促す潜在力を備えていること。
・感化(インスピレーション):プロジェクトの成果が次世代に及び、他者にも影響を与える潜在力を備えていること。
グローバル・ハイスクール部門に関しては、未稼動のコンセプト段階のプロジェクトも対象となる。これらのプロジェクトは、高品質な学習等を含む教育上の好影響があり、生徒たちが確実に主要スキルを身につけ、目標達成の能力を向上できるよう計画されていることが必須。これらの学校プロジェクトもまた、保健、食品、エネルギーまたは水資源の分野における課題の解決に基づくものとする。
ザーイド・サステナビリティ賞2020年の受賞者は、2020年1月に開催されるアブダビ持続可能性週間中に行われる年間受賞式典で発表される。