富士フイルム(株)は、(一社)産業環境管理協会が主催する第2回「エコプロアワード」において、新聞用完全無処理サーマルCTPプレート『SUPERIA ZN-II』が、同アワードの最高位賞となる「大臣賞」の1つである「経済産業大臣賞」を受賞した。同受賞は、新聞用完全無処理CTPプレート『SUPERIA ZN-II』が、省材料、省エネルギー、省排出、省ウォーターにおいていずれも優れた効果をもたらしていること、また、カーボンフットプリント(CFP)(*1)により、主原材料であるアルミニウムのリサイクルシステムやライフサイクルにおけるCO2排出量を把握できる体制を整えている点が高く評価されたもの。
新聞は、コンピューター(PC)上で作成した原稿データを印刷版に描画し、その印刷版をセットした印刷機で大量に印刷される。これらの工程において、印刷版として活用されるのがCTPプレート。従来のCTPプレートは、印刷版の作成時にアルカリ薬品による現像工程が必要であったが、同社は現像処理が不要な新聞用完全無処理CTPプレートを2015年に発売。現像処理に使用する自動現像機を不要とし、化学薬品や、電気、水などの削減を実現した。
さらに、2018年には、新聞用無処理CTPプレートの輸送・積み替え時のキズ発生などを防止するために使用されていた表面保護紙である「合紙」を、プレート裏面の形状を制御する独自技術によって不要とした新聞用完全無処理CTPプレート『SUPERIA ZN-II』の提供を開始。包装材料の94%の削減を実現した。この究極の環境対応CTPプレート『SUPERIA ZN-II』は、新聞社1工場当たり年間約390トンものCO2排出量の削減(*2)に寄与する。
富士フイルムは、これまで、印刷市場における環境負荷の削減に向けて、無処理CTPプレートを開発、提供するだけでなく、新聞社や印刷会社で使用された同社のCTPプレートを回収し、主原材料であるアルミニウムを再利用して同品質のCTPプレートを製造するクローズドループ・リサイクル「PLATE to PLATE」システムを2011年に構築。これらの取り組みによる製品の環境負荷削減効果を、印刷関連資材初となるカーボンフットプリントの表示を通じて「見える化」し、顧客や資源回収事業者なども含めたサプライチェーン全体での資源循環を促進してきた。さらに、2018年度からは、経済産業省の「どんぐり制度」(*3)を利用したカーボン・オフセット「Green Graphic Project(GGP)」(*4)をスタート。同社のCTPプレートの購入・使用により、顧客が事業活動全体のCO2排出量の一部をオフセット(埋め合わせ)できるもの。
富士フイルムは、印刷市場において、今後とも省資源・省エネ型製品の開発を積極的に推進し、社会の持続可能な発展に貢献していく。
<エコプロアワードとは>
優れたエコプロダクツ(環境負荷の低減に配慮した製品・サービス)を表彰することによって、さらなる開発・普及を図ることを目的に設立された「エコプロダクツ大賞」が2018年にリニューアルしたもの。最高位賞として大臣賞(経済産業大臣賞、財務大臣賞、農林水産大臣賞、国土交通大臣賞、環境大臣賞)がある。
<環境負荷削減を実現した完全無処理CTPプレート「SUPERIA ZN-II」>
日本では毎日5,000万部もの新聞が発行されており、そのすべてがCTPプレートを用いた「オフセット印刷方式」によって印刷されている。オフセット印刷方式では、アルミニウムを主原材料とするCTPプレートや、現像工程で使用する化学薬品、合紙、インキなど多くの資材を使用するため、新聞印刷業界は環境にやさしい印刷システムを常に追求してきた。
同社もこれまで、現像工程の簡略化、アルミリサイクル、包装材料削減など省資源化、省エネ化に取り組んでおり、2015年には完全無処理CTPプレート「SUPERIA ZN」を国内の新聞印刷市場で初めて実用化した。今回受賞した「SUPERIA ZN-II」は、従来の無処理CTPプレートに対しさらに「合紙レス」を実現し、究極まで環境負荷の削減を追求するとともに、印刷現場での利便性向上を図っている。
この『SUPERIA ZN-II』の使用により、年間新聞社1工場当たりで2.4トンの薬品使用削減、12.1トンの水使用削減、12.6MWhの消費電力削減、3.9トンの廃液削減、2.4トンの合紙削減に繋がる(*2)。アルミリサイクル効果も合わせると、年間約390トンものCO2排出量削減に寄与する。国内の新聞印刷業界全体に広まれば67,300トンものCO2排出量削減に貢献できる(*5)。
*1 製品のライフサイクル全体のCO2排出量を製品に表示する仕組み。2009年に印刷関連資材として初めて、当社の「サーマルCTPプレート」が「カーボンフットプリント」認定を取得。
*2 1工場当たりの平均的なプレート使用量(5,000m2/月)を基に算出。
*3 「どんぐり制度」とは、経済産業省が推進する「カーボン・オフセット制度」で、製品やサービスのライフサイクルで排出される温室効果ガス排出量を算定し、その削減に取り組んだ上で、どうしても減らせなかった排出量を、森林保護やクリーンエネルギー事業による排出削減分でオフセット(埋め合わせ)する仕組み。
*4 気候変動対策の一環として、「カーボン・オフセット制度」を利用して顧客とともにCO2排出量削減に取り組む活動を進めるプロジェクト。当社の無処理CTPプレートは、ライフサイクル全体で排出するCO2を、開発途上国におけるCO2削減プロジェクトに出資して得られた排出権(クレジット)でオフセットし、CO2排出量ゼロを実現。顧客は、本製品を購入・使用することで、顧客が印刷物を製作する工程で発生するCO2排出量の一部をオフセットできる。
*5 同社の新聞用無処理CTPプレートに関わるCO2排出量削減分の算定と、2019年度の国内の新聞社数から当社が算定した数値。
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【第2回エコプロアワード】富士フイルムの新聞用完全無処理サーマルCTPプレート「SUPERIA ZN-II」、経済産業大臣賞受賞
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