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【Printing】富士フイルム 「新聞用完全無処理型印刷版の開発」で第19回グリーン・サスティナブル ケミストリー賞 経済産業大臣賞受賞

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 富士フイルム(株)は、「新聞用完全無処理型印刷版の開発」で、(公社)新化学技術推進協会が主催する第19回「グリーン・サスティナブル ケミストリー(GSC)賞 経済産業大臣賞」を受賞した。
 今回の受賞は、新聞用完全無処理型印刷版の開発により、従来現像工程で使用していた化学薬品、水、電気、廃液をゼロ化したことに加え、包装材料の大幅な削減を実現し、新聞印刷業界の課題である環境負荷低減に貢献したことが高く評価されたもの。
 GSC賞は、グリーン・サスティナブル ケミストリー(人と環境にやさしく、持続可能な社会の発展を支える化学)の推進に貢献した企業や個人の業績を表彰するもので、経済産業大臣賞は産業技術の発展に著しく貢献した業績を対象としている。

受賞対象開発品
 新聞用完全無処理型印刷版「SUPERIA ZN-II」

開発の背景

 新聞は、コンピューター上で作成した原稿データを印刷版にレーザーで描画し、その印刷版をセットした輪転機で印刷される。これらの工程において、印刷版として用いられるのがCTPプレート。日本では毎日約5,000万部*1もの新聞が発行されており、そのすべてがCTPプレートを用いた「オフセット印刷方式」によって印刷されている。従来のCTPプレートは、原稿データを描画して印刷版を作製するための現像工程が必要で、その工程で、強アルカリ性の化学薬品、水、電気が使用されること、また化学薬品の使用に伴って廃液が発生することなどが環境面での課題であった。富士フイルムは、より環境負荷の少ない新聞印刷を実現するため、現像工程が不要な新たなCTPプレートの開発に挑戦した。

開発品の概要

 富士フイルムは、現像工程が不要な新聞用完全無処理型のCTPプレートを2015年に発売。現像工程が不要となったことで、化学薬品、水、電気、廃液のゼロ化を実現した。さらに、2018年に発売した新聞用完全無処理プレート「SUPERIA ZN-II」では、プレート裏面の形状を制御する独自技術によって、従来CTPプレートの輸送・積み替え時のキズ発生などを防止するために使用されていた表面保護紙(合紙)が不要となり、包装材料を94%削減した。また、新聞社や印刷会社で使用された富士フイルム製のCTPプレートを回収し、主原材料であるアルミニウムを再利用して同品質のCTPプレートを製造するクローズドループ・リサイクル「PLATE to PLATE」システムを確立。資源循環を促進し、サプライチェーン全体での環境負荷低減を図っている。

社会・環境への貢献

 「SUPERIA ZN-II」の使用により、新聞社1工場あたり年間2.4トンの化学薬品使用削減、12.1トンの水使用削減、12.6MWhの消費電力削減、3.9トンの廃液削減、2.4トンの合紙削減に繋がる*2。アルミリサイクル効果も合わせると、年間約390トンものCO2排出量削減に寄与する。国内の新聞印刷業界全体に広まれば67,300トンものCO2排出量削減に貢献できる*3。

受賞者

富士フイルム(株)
 嶋中修知 氏 R&D統括本部 グラフィックシステム研究所
 難波優介 氏 R&D統括本部 グラフィックシステム研究所
 宮川侑也 氏 R&D統括本部 グラフィックシステム研究所
 渡邉駿平 氏 R&D統括本部 グラフィックシステム研究所
 落水朋樹 氏 グラフィックシステム事業部 技術マネージャー
*1 (一社)日本新聞協会による調査データ 2019年発行部数
*2 1工場当たりの平均的なプレート使用量(5,000m2/月)を基に算出
*3 同社の新聞用無処理CTPプレートに関わるCO2排出量削減分の算定と、2019年度の国内の新聞社数から同社が算定した数値

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