三井化学(株)は、世界的な情報サービス企業であるクラリベイト・アナリティクス社(本社:米国フィラデルフィア、日本オフィス:東京都港区)が世界の革新企業/機関トップ100を選定する『Derwent Top 100 グローバル・イノベーター 2018-19』に選出された。2015年、2017年に続き3度目の受賞となる。2019年2月28日、三井化学本社においてクラリベイト・アナリティクス社よりトロフィーが授与された。
『Derwent Top 100 グローバル・イノベーター 2018-19』は、クラリベイト・アナリティクス社が保有する特許データベースを基に独自の評価基準に基づき、革新的であること、知的財産権保護の尊守に努めていること、また、世界に影響を及ぼすような発明をもたらした企業であることが認められた企業に贈られる。
この分析には、「特許数」「成功率」「グローバル性」「引用における特許の影響力」(分析対象は過去5年間。「グローバル性」のみ過去3年間)の4つの評価軸が使用される。三井化学は そのうち、「グローバル性」において、引き続き高い評価を得たことが、今回の受賞につながった。
■『Derwent Top 100 グローバル・イノベーター 2018-19』について
クラリベイト・アナリティクス社が保有する世界最大級の付加価値特許データベース「Derwent World Patents Index(DWPI)」や特許調査・分析プラットフォーム「Derwent Innovation」などから抽出された厳格かつ客観的なデータと、独自の評価基準に基づき、革新的であること、知的財産権保護の尊守に努めていること、また、世界に影響を及ぼすような発明をもたらした企業であることが認められた企業に贈られる。同アワードは年1回発表されており、今年で8回目。
【Derwent Top 100 グローバル・イノベーター 2018-19】三井化学、3度目のアワード受賞
【5G】NEDO、PETRA、OKI、小型に集積可能なフォトダイオードで受光感度21.8A/W達成
こうした背景から、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)、沖電気工業(株)(OKI)は、5Gネットワーク向け超小型光トランシーバーの技術開発プロジェクト※4を進めてきた。この度、光トランシーバーを構成する主要素子の1つであるフォトダイオード※5において、小型化と高感度化を両立させる技術の開発に成功し、シリコンフォトニクス技術※6により集積可能な構造のフォトダイオードとして、1600nm波長帯の光に対して世界最高となる受光感度※721.8A/Wを達成した。今回開発したフォトダイオードは、アバランシェフォトダイオード(APD)※8の原理を利用したもので、小型化が可能なシリコンフォトニクス技術を用いたAPDとして実用に十分な受光感度を実現した世界初の事例となる。これにより、伝送距離の長延化、収容可能な基地局数の増加など、設備コスト低減につながる効果が期待される。
今後、本開発素子を含め、光源や光変調器などの全ての光素子をシリコンチップ上に集積化することにより、超小型光トランシーバーを実現し、5Gネットワークのスモールセル基地局装置に搭載される光通信ユニットの超小型化・低消費電力化に貢献する。
なお、PETRAとOKIは、本成果について、2019年3月3日~7日に米国カリフォルニア州・サンディエゴで開催されている世界最大級の光通信関連の国際学会「OFC(Optical Fiber Communication Conference)2019」で発表する。
一般に、APDでは、受光に伴って発生する電子の流れを、電界をかけた増倍領域において増幅することにより高い受光感度が得られる。これまで化合物半導体を用いたAPDでは、非常に高い受光感度が達成されていたが、他の光素子との集積化は難しく、製造コストも高くなる課題があった。一方、他の光素子との集積化が容易で、製造コストを安価にできるシリコンフォトニクス技術を用いたAPDでは、シリコン光導波路※9の上に増倍領域とゲルマニウムからなる光吸収領域を順次積み重ね、さらに光吸収領域の上に電極を設ける構造が報告されていたが、十分な受光感度を得ることができなかった。
今回開発したフォトダイオードでは、光アクセスネットワークで近年利用が始まった1600nm波長帯の光に対して高い受光感度を得るために、ゲルマニウム光吸収領域上に電極を持たない構造をとることにより、光吸収領域における光損失の低減を図った。その結果、シリコンフォトニクスにより他の光素子と集積可能な構造のフォトダイオードとして、1600nm波長帯の光に対して世界最高となる受光感度21.8A/Wを実現して、5Gネットワークに十分適用可能な性能を達成した。
また、増倍領域をシリコン光導波路の中に設ける独自のシンプルな構造を採用したことにより、大量生産技術が確立している安価なCMOSプロセス※10での製造が可能となった。
今回開発したフォトダイオードを、光波長フィルター、光変調器、送信用光源など他の光素子とともに集積すると、数mm角の超小型光送受信集積チップとなる。今後は、5Gネットワークのスモールセル基地局装置に内蔵できるよう、この光送受信集積チップを実装した超小型光トランシーバーの開発を進めていく。
また、本集積チップの小型である特長を生かして、分光機能を集積した光学分析チップの受光素子など、センサー応用への展開も進めていく。
<注釈>
※1 パッシブ光ネットワーク(PON)
光アクセスネットワークにおいて、収容局と加入者を結ぶ光ファイバーを分岐して、時間多重により収容局と加入者を1対多数で結ぶネットワーク構成。収容局側設備と光ファイバー線路を複数の加入者で共用するため、ネットワークの設備コストを低く抑えることができる。
※2 光アクセスネットワーク
光通信ネットワークにおいて、加入者と通信事業者の収容局を結ぶネットワーク。
※3 光トランシーバー
電気信号と光信号を相互に変換する装置。
※4 プロジェクト
事業名:超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発
事業期間:2013年度~2021年度
※5 フォトダイオード
光の検出器として動作する半導体素子。光信号を電気信号に変換できる。
※6 シリコンフォトニクス技術
シリコンを材料とする光素子技術の総称。従来の光素子は、ヒ化ガリウム、リン化インジウムなどの化合物半導体、または石英などの誘電体を材料とすることが一般的であった。シリコンを材料とすることにより、光素子の小型化、光素子とシリコンLSIの集積化、生産性の向上などが期待される。
※7 受光感度
光信号を電気信号に変換する効率を表す指標。フォトダイオードの場合は、発生する電流を入射光強度で割った値をA/W(アンペア/ワット)の単位で表す。
※8 アバランシェフォトダイオード(APD)
フォトダイオードの一種。光を受けて発生する電流を電界の効果により内部で増幅することで、高い受光感度が得られる。
※9 光導波路
所望の経路に沿って光を伝搬させるための光の通り道。
※10 CMOSプロセス
半導体集積回路の製造で一般的に用いられる製造工程。大量生産により製造コストを極めて低く抑えることができる。
【デジタル印刷】日本印刷産業連合、3月26日に「デジタル印刷の現状と展望」に関する調査報告会を開催
(一社)日本印刷産業連合会デジタルプレス推進協議会は、3月26日(火)午後1時30分~午後5時10分(受付:午後1時より)まで、日本印刷会館2階大会議室において、「デジタル印刷の現状と展望」に関する調査報告会を開催する。
デジタル印刷の技術的発展は、より速く、より精細に、色彩豊かに広がりを持って進み、印刷業向けの多彩なデジタル印刷機が登場している。今やほとんどの印刷品目を出力できる段階になりつつあり、次第に生産機としての活用が拡大してきている。国内の印刷産業における生産機としてのデジタル印刷機活用の状況を把握し、活用度を更に高めるためにアンケート調査を実施した。
今回、調査結果の報告に合わせ、メディアテクノスの井上秋男氏から、デジタル印刷に特化した展示会である「Hunkeler Innovationdays 2019」の視察報告と、印刷の価値についてのパネルディスカッションを行う。
【開催日時】2019年3月26日(火)午後1時30分~午後5時10分(受付:午後1時より)
【会場】日本印刷会館2階大会議室(有楽町線新富町駅、日比谷線八丁堀駅下車)
東京都中央区新富1-16-88 TEL.03-3553-6051
【参加費】1名3000円(当日資料、消費税含む)当日、現金払い(領収書発行)
【テーマ名/内容】
1.「印刷業界におけるデジタル印刷に関するアンケート調査」報告
郡司秀明氏(日本印刷産業連合会・デジタルプレス推進協議会座長、(公社)日本印刷技術協会専務理事)
花房賢氏((公社)日本印刷技術協会担当部長)
2.「Hunkeler Innovationdays 2019」の視察報告
井上秋男氏((有)メディアテクノス代表取締役)
3.パネルディスカッション「印刷の価値が変わる。どのように」
モデレーター:郡司秀明氏
パネリスト:
花井秀勝氏(フュージョン(株)代表取締役会長)
岡本幸憲氏((株)グーフ代表取締役CEO)
山口実氏(日本フォーム印刷工業連合会専務理事)
井上秋男氏((有)メディアテクノス代表取締役)
【申込方法】
日本印刷産業連合会のホームページより申し込む。
https://www.jfpi.or.jp/topics/detail/id=4259
申込締切は3月22日(金)。定員(120名)になり次第、締切
【UV-LEDプリンター】ローランドDG、「VersaUV LEF2-200」発売
業務用IJ(インクジェット)プリンターを製造・販売するローランド ディー.ジー.(株)(以下、ローランドDG)は、UV-LEDプリンターLEFシリーズの新製品「VersaUV(バーサユーブイ)LEF2-200」を世界同時発表した。 LEFシリーズは、UV(紫外線)照射で硬化する特殊なインクを搭載した卓上型IJプリンター。今回発表するLEF2-200は、“多彩な材料に付加価値の高い特殊印刷ができる”というLEFシリーズ最大の特長を継承しつつ、より快適かつ効率よく使えるよう、さまざまな新機能を搭載したシリーズ最新モデル。
LEF2-200は、インクが吐出された直後にUV-LEDランプを照射することで、印刷したい材料の表面でインクを硬化、定着させるため、紙だけでなく、各種プラスチックや革、木材、布などのさまざまな材料に対して、文字やイラスト、写真画像をフルカラーで高精細に印刷することができる。また、クリア(透明)インクを使えば、光沢感のある表現が可能な上、インクを重ね打ちすれば、凸凹のある表現や、リアルな質感を持つ立体的な表現など、プリンターで出力したとは思えない、特別で付加価値の高い表現が可能。材料は、厚さ100mmまでのものがセットでき、またインクは伸縮性を備えているため、ソフトケースのようなプラスチックや革など、柔らかく曲がる材料にも印刷可能。さらに、無駄な待ち時間なく作業が開始できる起動タイマー機能や、プリントヘッドを常に最適な状態に維持するクリーニング機能の搭載、また、材料を手早くセットできる位置決め冶具の採用など、操作性や信頼性の向上を実現している。
DP事業部の田部耕平事業部長は「LEF2-200は、これまで自分では印刷できないとあきらめていた色々な材料に、“本当にプリンターで印刷したの?”と驚くような、リアルで色彩豊かな表現を施すことができます。そして、誰もが手軽に、安心してお使いいただけるように、操作性や信頼性にもこだわった製品です。このLEF2-200が生み出す表現力が、お客様に新しい価値をもたらし、ビジネスの拡大や効率化に貢献できればと思います」と述べている。
<VersaUV LEF2-200の主な特長>
(1)さまざまな材料へ色鮮やかなグラフィックをダイレクトに印刷
LEF2-200で使用するECO-UVインクは、他の一般的なプリンターのインクとは異なり、印刷したい材料の表面上で硬化して定着する特性がある。そのためプラスチックや塩ビ、革、木材、布など、さまざまな材料に直接印刷することができる。しかも高精細なフルカラー印刷で、イラストや文字はもちろん、写真などの画像も美しく再現する。
(2)光沢感のある表現や立体的な特殊印刷が手軽に行える
クリア(透明)インクを使えば、光沢感のある表現が行える上、インクを重ね打ちすることで、凸凹のある表現や、リアルな質感を持つ立体的な印刷が可能。プリンターで出力したとは思えない、特別で、付加価値の高い印刷が手軽に行える。また、すぐに使える72種類のテクスチャー(模様)のパターンデータも標準付属。
(3)硬いものから柔らかいもの、平面から曲面まで幅広く対応
LEF2-200で使用するECO-UVインクは、複雑な曲面や柔らかい材料にも追従する伸縮性を持っているので、ソフトケースのようなプラスチックや革などへの印刷にも安心して使える。また、厚さ100mmまでの材料がセットでき、高低差2mmまでの曲面にも対応できるため、表面に凸凹や曲面のある材料にも印刷が可能。
(4)必要な時に、必要な数だけ印刷
LEF2-200は、1点ものの印刷から対応。必要な時に、必要な数だけオンデマンドに印刷することができる。試作品を作って仕上がりのイメージを確認したい、世界に1つしかないオリジナル品を作りたい、数が少ないので印刷会社に頼みにくい、そんな場面に最適なプリンター。
(5)手間なく効果的なプライマー印刷
インクがのりにくい材料に印刷したい場合には、これまで事前にプライマーの塗布作業を手作業で行うのが一般的であったが、LEF2-200は専用のプライマーインクを用意しているので、材料への塗布を自動で行える。制作工程を大幅に短縮できるだけでなく、プライマー用のデータの作成も付属ソフトウェアで簡単にできるので、より多彩な材料へ、印刷の可能性が広がる。
(6)誰もが簡単に、高品質な印刷を効率的に
LEF2-200は、高品質な印刷を効率よく簡単に行うための多くの機能を搭載している。起動タイマー機能を使えば、業務用のプリンターでは一般的な使用前のクリーニングや白インクの循環作業を、指定した時間までに自動的に完了させておくことができるので、あとは材料をセットすればすぐに印刷を開始できる。また、位置決め冶具を使えば、材料を手早くセットすることが可能。
(7)高い信頼性と安全性
LEF2-200は、新しいクリーニングシステムを採用した。ヘッドリフレッシュ機能は、インクを吐き出すプリントヘッドに付着した汚れを取り除き表面をきれいにすることで、プリンターを最適な状態に保つ。万が一プリントヘッドが詰まってしまった場合でも、ノズルマスク機能を使用すれば、プリントヘッドの半分を使用して印刷を継続するので、仕事が止まることを防ぐ。また、本体は密閉性に優れたフルカバー構造を採用しているため、作業者をUV光から保護するとともに、印刷中のホコリの付着も未然に防ぐ。
(8)最新の出力用ソフトウェアVersaWorks 6を標準付属
LEF2-200のパフォーマンスを最大限に引き出すさまざまな機能を搭載した最新のRIP & Print Management Software「VersaWorks(バーサワークス)6」を標準付属しているので、導入後すぐに質の高い印刷が行える。
<主な仕様>
製品名 :VersaUV LEF2-200
取り付け可能な材料の大きさ/重量:最大538(幅)×360(奥行)×100(高さ)mm/最大5kg
印刷範囲 :最大508(幅)×330(奥行)mm
印刷ドット解像度:最大1,440dpi
対応インク/色 :専用紫外線硬化インク「ECO-UVインク」
シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、クリア(GL)、ホワイト(WH)、プライマー(PR)
外形寸法/重量 :1,202(幅)×962(奥行)×549(高さ)mm/110kg
インターフェイス:イーサネット(10BASE-T/100BASE-TX 自動切替)
標準価格(本体) :2,980,000円(税抜)
(RIP & Print Management Softwareを含む価格、運送・設置費別)
標準価格(インク):9,800円(税抜)/各色220ml
販売目標台数 :発売後1年間で1,000台(国内・海外の合計台数)
発売日 :2019年3月5日
【大判IJプリンター】ローランドDGの「TrueVIS VG2シリーズ」と「TR2インク」、3M MCS保証プログラムに対応
業務用IJ(インクジェット)プリンターを製造・販売するローランド ディー.ジー.(株)(以下、ローランドDG)は、本日、世界同時発表した大判IJプリンターの新製品「TrueVIS(トゥルービズ)VG2シリーズ」と新開発の「TR2インク」※1が3M(TM)MCS(TM) 保証プログラム※2に対応したことを発表した。
3M社が提供する3M(TM)MCS(TM) 保証プログラムは、屋外に施工されるグラフィックスの耐用年数を保証するもの。3M社が誇る耐候性に関する高い技術に裏打ちされた3M(TM)MCS(TM) 保証プログラムでは、IJプリンターとインクを含め厳しい試験を実施し、最終成果物のグラフィックスが、褪色やひび割れ、剥がれなどがなく、長く、美しく保たれることを保証している。TrueVIS VG2シリーズは、その3Mの厳しいテストに合格し、長期にわたって変わらぬ耐久性と信頼性を保つことが認められた。
TrueVIS VG2シリーズは、さまざまな新技術への挑戦と、出力品質や操作性、信頼性など全ての面において細部までこだわった製品作りにより、ローランドDG史上最高の表現力を実現した大判IJジェットプリンター。DP事業部の田部耕平事業部長は「3M(TM)MCS(TM) 保証プログラムに対応したTrueVIS VG2シリーズは、コミュニケーション効果の高いサイングラフィックスを生み出すだけではなく、その最終成果物に更なる安心と信頼をもたらし、お客様のビジネスを次のステータスへ導くものと考えております」と述べている。
※1 オレンジおよび白インクを使用する印刷設定で出力した成果物は3M(TM)MCS(TM) 保証プログラムの保証対象外。
※2 3M(TM)MCS(TM) 保証プログラムの詳細については、< http://www.mmm.co.jp/cg/value/advantage/mcs.html >を参照。保証の適用は3M(TM)MCS(TM) 保証プログラム 認定店で製作されたグラフィックスが対象。
【大判IJプリンター】ローランドDG、「TrueVIS VG2シリーズ」発売
ローランド ディー.ジー.(株)(以下、ローランドDG)は、大判IJ(インクジェット)プリンター「TrueVIS(トゥルービズ)シリーズ」の新製品として、VG2-640(最大用紙幅1,625mm対応)およびVG2-540(同1,371mm対応)の2機種を世界同時発売した。 TrueVISシリーズは、広告・看板製作用の同社大判IJプリンターの主力製品群。今回発表したVG2-640およびVG2-540(以下:VG2シリーズ)は、「見る人の心を一瞬でとらえ、動かす」そんな特別な力を持ったサイングラフィックスを製作できるプリンターを目指し開発をスタート。さまざまな新技術への挑戦と、出力品質や操作性、信頼性など全ての面において細部までこだわった製品作りにより、同社史上最高の表現力を実現したシリーズ最新モデル。
まずインクには、新色オレンジを含む新開発のTR2インクを採用。新インクの特性や色域を最大限に発揮させるための新しいマルチプロセスカラー機能により、色域が大きく拡大し、色彩豊かな表現が可能になった。
また、新開発の印刷設定「True Rich Color(トゥルーリッチカラー)」により、1つの作品の中で、「鮮やかさ」と「自然さ」の相反するふたつが共存するワンランク上の表現が可能に。人の目を一瞬でとらえる存在感と、心を動かすリアルな臨場感を兼ね備えたコミュニケーション効果の高いサイングラフィックスを描き出す。
さらに、常に最適な状態でプリント&カットが行える自動昇降ピンチローラーをはじめ、ラミネート後のカッティングをより正確に行うためのクロップマーク機能、メディアを搬送するピンチローラーの圧力最適化、さまざまなタイプのメディアを確実に巻き取ることが可能な巻取装置など、数々の新技術により、印刷とカッティング品質のさらなる向上を図った。また同時に、機構設計やソフトウェア機能、操作パネル、メンテナンスシーケンスなどを一から徹底的に見直すことで、快適かつ効率的な操作性と、確かな信頼性を実現している。
DP事業部の田部耕平事業部長は、「VG2シリーズは、当社史上最高の表現力を目指したプリンターです。既成概念にとらわれず、さまざまな新技術にチャレンジし、細部までこだわった製品開発を行いました。VG2シリーズが生み出す特別な表現力は、お客様のビジネス競争力の向上に必ずお役に立つと考えております。また、製品を通して、お客様に創造することの楽しさや喜び、人々を感動させた時の達成感などを提供できればたいへん嬉しく思います」と述べている。
<TrueVIS VG2-640/VG2-540の主な特長>
(1)新開発のTR2インク採用
新開発のTR2インクを搭載。CMYKLcLmLkWhに加え、新色のオレンジにも対応。オレンジ色は、華やかでインパクトがあるだけでなく、その明るく親しみやすいイメージが、見る人の気持ちを前向きにさせ、活発なコミュニケーションを促す効果があると言われている。この特性を最大限に活かすために新しい「マルチプロセスカラー機能」を搭載。オレンジ色をプロセスカラーとして処理することで、表現できる色域が大きく広がるとともに、見る人の心に響く色彩豊かな表現が可能に。コミュニケーション効果の高いサイングラフィックスを製作できる。
(2)新境地を切り拓く、新しい印刷設定「True Rich Color」搭載
VG2シリーズの持つ優れた色再現性と、TR2インクの広い色域を最大限に引き出す新しい印刷設定「True Rich Color」を新開発。1つの作品の中で、鮮やかで豊かな色彩と、滑らかなグラデーションやニュートラルなグレー、自然で美しい肌の質感が共存するワンランク上の表現が可能に。目立たせたい箇所はより鮮やかに、リアルに表現したい箇所はより自然なままに。人の目を一瞬でとらえる存在感と、心を動かすリアルな臨場感を兼ね備えた特別なサイングラフィックスを描き出す。
(3)進化したプリント&カット機能
VG2シリーズは、プリント&カット機能もさまざまな進化を遂げた。新しく開発された自動昇降ピンチローラーは、印刷からカッティング動作に入る際に使用しないピンチローラーを素早く自動的に持ち上げるため、オペレーターの手間が掛からない上、常に最適な状態でプリント&カットを行うことができる。また、ラミネート後のカッティングをより正確に行うために新しいクロップマーク機能を搭載。さらに、ピンチローラーの圧力もより最適化を図り、カッティング品質のさらなる向上を実現。
(4)質の高い仕事をより短時間で
VG2シリーズは、賞を受賞した前モデル※の優れた基本性能を継承。出力品質を大きく左右するプリントヘッドには「Roland DG FlexFire(ローランドディージー・フレックスファイア)」を採用。高速かつ高精度なインク吐出機能を持つプリントヘッドは、高速印刷モードにおいても、ニュートラルなグレー表現、鮮やかな発色、滑らかな肌の質感までをイキイキと表現する。さらに、メディアの巻き取り装置を一新。薄いメディア用と厚いメディア用の2種類の巻取モードを搭載し、さまざまなタイプのメディアに合わせて最適な巻取を行う。 ※前モデルのVGシリーズは、キーポイントインテリジェンス社の「BLI Pick Awards 2019」を「画質」と「生産性」の2部門で受賞した。
(5)スマートで効率的な操作性
機構設計、セットアップシーケンス、ソフトウェア機能、操作パネル、メンテナンスシーケンスなどで徹底的な改善を実施。ユーザーエクスペリエンスを大幅に向上させるとともに、オペレーション全体の効率化を実現。また、Roland DG Mobile Panelを利用すれば、テストプリントやクリーニング機能の実行など本体パネル上で行う操作を、既存のスマートフォンやタブレット上で行える上、インク残量やマニュアルの確認などの作業を手元ですぐに行うことができる。
(6)信頼の耐久性と安全性
VG2シリーズは、出力加工品の耐用年数を保証する3M社のMCS保証プログラムに対応。長期間掲示するサイングラフィックスの製作も安心。また、Avery社のICSパフォーマンス保証にも対応している。さらに、VG2シリーズで製作した成果物は、屋内での施工において厳しい化学物質排出制限を満たしていることを認証するGREENGUARD Goldを取得。
(7)最新の出力ソフトウェアVersaWorks 6を標準付属
VG2シリーズのパフォーマンスを最大限に引き出しながら、快適な操作性を実現した最新のRIP & Print Management Software「VersaWorks(バーサワークス) 6」を標準付属。ハーレクインのデュアルコアエンジンを採用し、最新のPDF2.0および64bit処理にネイティブに対応。透明やぼかしなどの特殊効果を使った複雑なPDFデータもスムーズに出力できる。また、新色オレンジにも対応した新開発の「Roland Color System Library」や「PANTONE(R)ライブラリ」の搭載により、特色指定に対するカラーマッチングの大幅な効率化を実現。導入後すぐに高品質かつ高効率な出力が行える。
<主な仕様>
製品名 :VG2-640、VG2-540
印刷/カッティング幅:最大1,600mm、最大1,346mm
印刷ドット解像度 :最大1,200dpi
対応インク/色 :低溶剤インク「TrueVIS TR2 INK」
500mlインクパウチ(Whのみ250ml)/シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、ライトシアン(Lc)、ライトマゼンタ(Lm)、ライトブラック(Lk)、オレンジ(Or)、ホワイト(Wh)
外形寸法/重量 :2,945(幅)×730(奥行)×1,310(高さ)mm/204kg
2,685(幅)×730(奥行)×1,310(高さ)mm/188kg
インターフェイス :イーサネット(100BASE-TX/1000BASE-T 自動切替)
標準価格(本体)* :2,680,000円(税抜)、2,480,000円(税抜)
標準価格(インク) :500ml(CMYKLcLmLkOr):12,000円(税抜)
250ml(Wh):8,600円(税抜)
販売目標台数 :発売後1年間で2,000台(国内・海外の合計台数)
発売時期 :2019年3月5日
*スタンド、RIP & Print Management Softwareを含む合計価格、運送・設置費別
【大判UJプリンター】ローランドDGの「TrueVIS VG2シリーズ」と「TR2インク」、エイブリィ・デニソンのICSパフォーマンス保証に対応
ローランド ディー.ジー.(株)(以下、ローランドDG)は、本日世界同時発売した大判IJ(インクジェット)プリンターの新製品「TrueVIS(トゥルービズ)VG2シリーズ」と新開発の「TR2インク」がエイブリィ・デニソン社のICSパフォーマンス保証に対応したことを発表した。
エイブリィ・デニソン社が提供するICSパフォーマンス保証では、同社のメディアとラミネートフィルム、ローランドDGのVG2シリーズとTR2インクの組み合わせで作られたサイングラフィックスに対して、屋外で最大4年間、屋内で最大7年間、その品質を保証する。さらに、同社が実施した試験の結果、印刷後6時間でラミネートができるレベルまで溶剤成分が揮発することが証明されており、印刷からラミネートまでの作業を1日で行うことができる。
エイブリィ・デニソン社のOEMリレーションシップ・マネージャーのPaul Roba氏は、「ICSパフォーマンス保証にTrueVIS VG2シリーズとTR2インクが対応したことで、高性能かつ安心してご使用いただけるソリューションがまた1つ新たに加わりました。今後とも、当社製品やソリューションを通して、お客様の信頼性や生産性の向上に貢献していきたいと思います」と述べている。
TrueVIS VG2シリーズは、さまざまな新技術への挑戦と、出力品質や操作性、信頼性など全ての面において細部までこだわった製品作りにより、ローランドDG史上最高の表現力を実現した大判IJプリンター。DP事業部の田部耕平 事業部長は、「エイブリィ・デニソン社のICSパフォーマンス保証への対応と、優れた溶剤成分の揮発性能が実証されたことで、高品質な成果物を短納期で実現したいというサイン製作のプロの方々に、さらなる競争力をご提供できると考えています」と述べている。
【長繊維GFPP】三井化学、中国における生産設備新設。グローバル供給体制を構築し、事業拡大を推進
三井化学(株)は、同社グループの中国の製造拠点である三井化学複合塑料(中山)有限公司(中国広東省中山市、董事長:仁木康博)にガラス長繊維強化ポリプロピレン(長繊維GFPP)の生産設備を新設する。長繊維GFPPの製造拠点は、日本、米国に次ぎ3番目。今回の設備新設により長繊維GFPPの生産能力は、10,500トン/年となる。<生産設備新設の概要>
製品:ガラス長繊維強化ポリプロピレン(長繊維GFPP)
製造場所:三井化学複合塑料(中山)有限公司 中国広東省中山市
生産能力:3,500トン/年
スケジュール:2020年2月完工、9月営業運転開始
(株)プライムポリマー(藤本健介社長、出資:三井化学65%、出光興産(株)35%)が開発した長繊維GFPPは、繊維状のガラスとポリプロピレン樹脂を溶融・混練して得られる複合材料。軽量で、ガラス繊維が長いことによる剛性や耐衝撃性のバランスに優れていることに加え、外観性が良いことから、無塗装による自動車向けバックドアインナー等に採用されている(三井化学はは長繊維GFPPを、環境貢献価値が高い製品としてBlue Value®に認定している)。
昨今の環境規制の強化やEV化の進展を背景に、自動車には更なる軽量化が求められている。こうした中、バックドアなどの金属代替素材として、繊維強化樹脂の需要は増加が見込まれていまる。
三井化学は、世界的に拡大する需要を的確にとらえ、重点分野の1つであるモビリティの更なる事業拡大を推進していく。
【IJプリンタ】沖データとミマキエンジニアリング、国内販売強化のため提携
(株)沖データ(OKIデータ)と(株)ミマキエンジニアリングは3月5日、OKIデータ製大判インクジェットプリンターの国内販売強化のために提携することで合意した。この合意により、OKIデータ製大判インクジェットプリンターおよびインクなど消耗品の国内販売は、2019年4月1日から、国内に強固な販売網を持つミマキエンジニアリングが行う。
今回の提携対象商品は、高速かつ高濃度での印刷が可能なOKIデータ製大判インクジェットプリンター2機種「ColorPainter H3-104s」「ColorPainter M-64s」と、同機種に対応したインクなど消耗品および、OKIデータがこれまでに販売したOKIデータ製大判インクジェットプリンター用インクなど消耗品。4月1日から、ミマキエンジニアリングが、販売と、ミマキエンジニアリングが販売したOKI製大判インクジェットプリンターの保守を開始する。なお、OKIデータからご購入いただいた商品の保守サービスは、引き続きOKIデータが対応する。
ミマキエンジニアリングは、業務用インクジェットプリンター、カッティングプロッタ、およびそのインク、ソフトウェアの開発・製造・販売・保守を一貫して行っている。日本国内では16カ所に営業・サービス拠点を設置し、地域密着型営業をキーワードとし、商品のみならず顧客が安心して使える環境を提案している。
OKIデータは、サインディスプレイ業界向けに商品の開発・製造・販売・保守を行っており、特に高速、大量の出力を必要とするお客様向けのミッドレンジ・ハイエンドクラスのラインアップを中心に事業を展開している。ミマキエンジニアリングの大判インクジェット事業の将来性と技術力、販売と保守の実績を高く評価し、既存納入先の確実な継続とより多くの顧客への提案が実現できると判断し、今回の合意に至った。
【スマホアプリ】三菱電機、話した言葉をスマホ画面に3D表示する「空中しゃべり描きアプリ」開発
なお、開発した試作品を2019年3月8日~17日まで米国・テキサス州オースティン市で開催されるデジタルテクノロジー展示会SXSW®(サウスバイサウスウエスト)に出展する。
※1 AR(Augmented Reality)技術。現実世界からの情報にデジタル情報を重ね合わせ、拡張した表現を可能にする技術
※2 2019年3月5日現在、同社調べ
1.AR技術を活用し、話した言葉を指でなぞった軌跡に3D表示する「空中しゃべり描きUI」
・AR技術を活用し、話した言葉を立体的な文字として携帯端末の画面に3D表示
・画面を指でなぞるだけで、話した言葉を瞬時に文字化して配置
2.UIと動画撮影機能などで、新たな動画表現を実現する「空中しゃべり描きアプリ」
・「空中しゃべり描きUI」に動画撮影機能などを追加し、3D表示された文字と動く被写体を組み合わせた新たな動画撮影を実現
・新たな動画表現で、SNSなどでのコミュニケーションの活性化に貢献
【石灰石+PO樹脂複合材】「LIMEX」を開発するTBM、15.5億円の資金調達実施。事業会社各社とシナジーを創出、資金調達総額100億円超に
石灰石を主原料とし、原料に水や木材パルプを使用せず紙の代替や石油由来原料の使用量を抑えてプラスチックの代替となる新素材「LIMEX(ライメックス)」を開発・製造・販売する(株)TBMは、SBIグループ、三洋化成工業(株)、JR東日本スタートアップ(株)に対して第三者割当増資を実施した。
持続可能な開発目標(SDGs)やプラスチック問題の課題解決に向けて、企業の対応が求められている。TBMは2015年に経済産業省の支援を受けて、LIMEXを生産する第1号プラント(宮城県白石市)を完成。シリコンバレーの3大アクセラレーターの1つである、Plug and Playにおいて年間を通して「世の中に最も社会的影響を与える企業-ソーシャルインパクトアワード-」を受賞。これまでLIMEX製品の実用化に向けて大手事業会社との共同開発やパートナーシップを強化し、3,000社を超える企業にLIMEX製品の導入を進めてきた。
また、現在、TBMは世界各地でLIMEXの工場設立に向けた協議を進めているが、海外で使い捨てプラスチックを規制する動きが強まり、世界中からLIMEXに関して500件以上の引き合いがあるなど、プラスチックの代替素材として注目を集めている。ブリュッセルで開催されたBrussels SDG Summit 2018(主催;CSRヨーロッパ)においてはパートナーに認定され、LIMEXの劣化やロスの少ないリサイクル性能の高さを活かし、シート状のものから射出成型品をつくる「LIMEXのアップサイクル」を紹介(サーキュラー・エコノミーの推進)。また、12月にポーランドで開催されたCOP24(第24回国連気候変動枠組条約締約国会議)では、イベント「LIMEX-石灰石で拓く脱炭素循環型社会への道」を主催し、今春ローンチ予定のLIMEX製のレジ袋、ゴミ袋、ショッパーのコンセプトモデルを発表した。エコノミーとエコロジーを両立しながら、循環型社会への移行を目指す取り組みを加速している。 今回の第三者割当増資により、国内における生産量拡大および商品競争力強化のための量産工場(多賀城工場、2020年竣工予定)の立ち上げ、国内での事業展開を加速するためのマーケティングや人材採用および研究開発や共同開発に対する積極的な投資を実施する。また割当先の事業会社各社と連携することでシナジーを創出し、LIMEX製品の共同開発やマーケティングを行い、 LIMEXの加速度的な成長を実現していく。
<今後の取り組み:三洋化成工業>
三洋化成工業は、これまで親水性と疎水性の材料を混合する界面活性剤技術を用いた様々なソリューションを提案してきた。今後においては、このような分散性付与等の技術をLIMEXと組み合わせることで、強度等の物性向上や、成形性向上、収率向上、コスト削減などLIMEXの性能を高める共同開発を促進していく。
<今後の取り組み:JR東日本スタートアップ>
TBMは昨年11月、「JR東日本スタートアッププログラム2018」において、「アクセラレーションコース」に採択され、LIMEXを用いたプロトタイプの傘を発表、駅構内を拠点とした「エキナカ傘シェアリング」の事業化の検討を進めてきた。今後においては、JR東日本スタートアップと連携し、LIMEX傘のシェアリング事業を推進する他、JR東日本グループにおけるLIMEX製の印刷物からプラスチック代替製品へのアップサイクルの循環モデル構築を検討していく。■今回の第三者割当増資の引受先
・SBIグループ
・三洋化成工業(株)
・JR東日本スタートアップ(株)
(※五十音順)
■LIMEX(ライメックス)について
・LIMEXは炭酸カルシウムなど無機物を50%以上含む、 無機フィラー分散系の複合材料であり、 日本発の新素材。
・2013 年、経済産業省のイノベーション拠点立地推進事業「先端技術実証・評価設備整備費等補助金」に採択。
・2014 年、国内特許を取得。 現在、 日中米欧を含む30か国以上で登録済。
・2015 年、宮城県白石市に年産 6,000 トンの LIMEX を製造する第一工場を建設。
・2016 年、米国シリコンバレーの「Plug and Play」で初の 『世の中に最も社会的影響を与える企業ソーシャルインパクトアワード』を受賞
・2017 年、「第7回日米イノベーションアワード」において『イノベーション・ショーケース』を受賞
・2018 年、COP24(第24回国連気候変動枠組条約締約国会議)に日本政府代表団として参加
[紙の代替として]
・通常、普通紙1トン生産する場合、木を約20本、水を約85トン使うが、LIMEXは原料に木や水を使用せず、石灰石0.6~0.8トンとポリオレフィン(PO)樹脂約0.2~0.4トンからLIMEX の紙代替製品(LIMEXシート)1トンを生産可能。
※国内の製紙業界においては、単に伐採するだけでなく海外で植林活動を実施。
※使用済みのLIMEXの紙代替製品を廃棄する場合は可燃ごみ扱い(古紙回収に出さない)。
[プラスチックの代替として]
・従来のプラスチックの原料は石油由来樹脂100%であるが、LIMEXでは主原料が石灰石であり、石油由来樹脂の使用量を大きく削減可能。
・LIMEXは、石灰石を主原料に石油由来樹脂と構成されているが、石油由来樹脂を100%バイオ由来、かつ生分解性の素材に置きかえた生分解性LIMEXの検討を開始。
・単価の安い石灰石を主原料とすることで価格競争力を有する。
・LIMEXの印刷物等のリサイクル材から、LIMEX 製のプラスチック成型品(LIMEXペレットを加工)を製造することが可能(LIMEXのアップサイクル)。
[資源としての石灰石の埋蔵量]
・日本でも100%自給自足できる資源。世界各地の埋蔵量も豊富で、ほぼ無尽蔵。
【液体ミルク】グリコ、3月11日から日本初の乳児用液体ミルクを発売
江崎グリコ(株)は、2019年3月5日(火)に、乳児用調製液状乳(以下、乳児用液体ミルク)について消費者庁より特別用途食品の表示許可を受け、「アイクレオ赤ちゃんミルク」を同日16時00分から自社通販サイトにて発売、3月11日(月)から全国で順次販売開始する。
同社は、創業当時より事業を通じて「子どものココロとカラダの健やかな成長」に寄与することを目指してきた。近年、増加傾向にある甚大な被害をもたらす自然災害の現場では、ストレスで母乳が出なくなってしまう、清潔な水やお湯の確保が困難、家族が離れ離れになる等、災害弱者である赤ちゃんの命が危険にさらされてきた。赤ちゃんの命をつなぐ「乳児用液体ミルク」への注目が高まる中、当社では2016年から乳児用液体ミルクの開発に着手。本商品を一日も早く上市することが使命との想いで商品開発を進め、東日本大震災から8年目となる3.11に全国販売開始に至った。
乳児用液体ミルクは、お湯や水に溶かす必要がないため、災害時だけでなく、外出時や調乳に不慣れな人のミルク作りの時にも、サッと飲ませることができる。赤ちゃんにとって母乳は最良の栄養ですが、多くのお母さん・お父さん・育児にかかわる人の「災害時や子育ての大変な時に使いたい!」という声にお応えすべく、本商品を発売致します。今後は、防災意識の啓発活動、および「液体ミルク」の安全性と正しい使い方について周知する活動を進めていく。
■商品概要
商品名:アイクレオ赤ちゃんミルク
発売日:2019年3月5日(火)
販売チャネル:
(1)自社通販サイト(グリコダイレクトショップ):3月5日(火)16時00分発売
(2)全国のドラッグストア・ベビー専門店等:3月11日(月)販売開始
希望小売価格:200円(税別)
賞味期限:6か月
保存方法:常温を超えない温度で保存
容量:125ml
包装材質:紙パック
主な使用シーン:災害時・深夜の授乳時・外出時・調乳に不慣れな方に赤ちゃんを預ける時など
許可表示:
母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養です。
「アイクレオ赤ちゃんミルク」は母乳が不足したり与えられない場合に母乳の代わりをする目的で作られたものです。
【液体ミルク】明治、3月5日に消費者庁からに販売許可を取得。詳細は13日に発表
(株)明治は、乳児用調製液状乳(以下、乳児用液体ミルク)の販売にかかわる許可を消費者庁より2019年3月5日(火)に取得した。
同社はこの許可を受け、乳児用液体ミルクの販売を開始する。なお、販売する商品の詳細は3月13日(水)に発表を予定している。
同社は「『おいしさ・楽しさ』の世界を拡げ、『健康・安心』への期待に応えてゆく」といったグループ理念のもと、乳児用ミルクが必要な赤ちゃんの健全な発育を担う責任に応えるため、1923年から乳児用ミルク事業に携わっている。そして、「赤ちゃんにとっては母乳が最良の栄養源である」という考えのもと、一つ一つの成分を母乳に近づけ、母乳で育つ赤ちゃんと同じ発育を目指して取り組んできた。
また、明治グループでは「CSR2026 ビジョン」を策定し「こころとからだの健康に貢献」「環境との調和」「豊かな社会づくり」の3つのテーマを掲げている。堂社は、これらのテーマごとの取り組みを推進することにより、明治グループならではのCSR活動を推進し、社会課題の解決に貢献していきたいと考えている。
このような考えのもと、当社は、災害時の赤ちゃんの栄養摂取や、ご使用いただく際の利便性の向上を目指した乳児用液体ミルクの販売を開始する。
災害時には、衛生的な水を確保できなくなる可能性がある。このような環境下においても、安心して赤ちゃんが栄養摂取できる乳児用液体ミルクを提供することで、赤ちゃんの健全な発育に貢献していく。
乳児用ミルクが必要なすべての赤ちゃんの健全な発育を担う責任に応えるため、乳児用液体ミルクの販売を通じて、赤ちゃんが災害時にも安全かつ安心して栄養摂取できる環境の整備に貢献するとともに、ミルクをご使用いただく際の利便性を向上し、当社ならではの取り組みを通じて社会課題解決に貢献していく。
【IoT】京セラ、人やモノの位置追跡に柔軟に対応するLPWA「GPSマルチユニット」発売
京セラ(株)は、国内大手通信キャリアが展開するIoT向け無線ネットワークLPWA(Low Power Wide Area)の通信規格の1つである、「LTETM Cat.M1※1」に対応した「GPSマルチユニット」を3月下旬以降、順次、販売開始する。
GPSマルチユニットは、GPSに加え、GLONASS、みちびき※2による位置情報に対応した、人やモノの位置追跡に適した端末。温度・湿度・加速度の各種センサーとアンテナをコンパクトなサイズのユニットに搭載している。また、外部給電タイプと、バッテリー内蔵タイプの2つを用意しており、コンテナやトラックなどの物流管理、盗難防止など、さまざまな用途で活用できる。
※1 3GPPがリリース13で規定したLPWA用無線通信規格。
※2 GLONASSは、ロシアの人工衛星を利用した衛星測位システム。みちびきは、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システム。
GPSマルチユニットの主な特長は次の通り。
(1)安心の長時間稼動
バッテリー内蔵タイプでは1,500mAhのバッテリーを搭載しているため、頻繁に充電する必要がなく、いざという時の電池切れのリスクを減らす。
(2)シーンによって選べる電源仕様
電源仕様を2種類用意。室内環境の遠隔監視など、常時給電が可能な環境で利用する場合には外部給電タイプ、見守りや盗難防止など、給電可能なタイミングが限られる環境で利用する場合はバッテリー内蔵タイプなど、利用シーンに合わせて選べる。
(3)位置情報と3つのセンサーを搭載
GPS、GLONASS、みちびきによる位置情報に加え、温度、湿度、加速度の各センサーも搭載。位置情報だけではなく、環境データもあわせて計測、収集できる。
(4)優れた拡張性
UART※3やUSBの汎用インターフェースに対応しているため、モデムモード※4で既存の機器やデバイスなどとも簡単に接続し、IoT機器として活用できる。また、外部給電タイプは内蔵のアンテナでは通信が難しい環境でも、外部アンテナ※3を接続して利用できる。ユースケースに合わせて、さまざまなカスタマイズが可能。
※3 UART/外部アンテナは、外部給電タイプのみの対応。
※4 モデムモードでは、搭載センサーを使用することはできない。
製造現場での製造機械の監視や異常検知、材料の残量管理、物流/宅配業界での、荷物の集荷/配送状況の通知、食品宅配時の適正な温度管理、運行管理等に使える。
【太陽電池セル】ハンファQセルズ、アメリカとドイツで特許侵害訴訟提起
ハンファQセルズ(以下「Qセルズ」)は3月4日(現地時刻)、太陽電池セルの効率を向上させるQセルズの特許技術を保護するため、アメリカとドイツにて特許侵害の訴訟を提起した。アメリカはジンコソーラー(Jinko Solar)、ロンジソーラー(LONGi Solar)、アールイーシーグループ(REC Group)の3社、ドイツはジンコソーラー(Jinko Solar)、アールイーシーグループ(REC Group)の2社が対象。
訴訟の対象となる特許が実現された技術は、太陽電池セルの裏面にパッシベーション層(Passivation layer)を形成し従来は無駄になっていた太陽光のエネルギーを、セル裏面の層に閉じ込めることで発電効率を高める技術。訴訟の対象となる特許は、セルに酸化アルミニウム成分の第1層と水素を含む異なる成分でできた第2層で構成された膜を安定的に形成させる技術で、高効率の太陽電池セルの量産化を可能にしている。
Qセルズは、訴訟の対象となる特許技術を用いて、2012年に世界で初めてPERC(Passivated Emitter Rear Cell)技術をベースとした高効率セルであるQ.ANTUMセルの量産化に成功し、長年にわたり研究開発および投資を続け技術を向上させてきた。また、自社の太陽光技術保護のため訴訟の対象となる特許を含む関連特許を多数出願し確保してきた。Qセルズは、持続的な技術革新を通じて2018年末までに累計10GW以上のQ.ANTUMセルを生産している。
ハンファQセルズ(株)のチャールズ・キムCEOは「QセルズはPERC技術をベースとした高効率セルの生産を世界で初めて常用化させるため多大な投資と努力を費やしてきており、訴訟の対象となるパッシベーション技術は技術革新のための持続的な献身の成果物」と「今回の特許訴訟で太陽光業界における研究開発に対する投資および努力について価値を高め、健全な研究開発競争を通じ、太陽光産業と技術の向上に貢献して行く方針」と語った。
Qセルズが特許侵害訴訟で勝訴した場合は、当該技術を侵害した被告企業の太陽電池セルおよびモジュールにおいて提訴が行われた国での販売および輸入が禁止される。また、特許侵害行為による過去の損害について損害賠償も請求することが可能になる。
なお、Qセルズは優れた技術力と高品質、ブランド力をもとにグローバルな太陽光発電市場を牽引してきており、アメリカ、日本、ドイツなど主要な太陽光発電市場でマーケットシェア1位を達成している。また、ヨーロッパで6年連続、オーストラリアで4年連続「トップ・ブランドPV」の称号を獲得し、昨年6月にはQ.ANTUMテクノロジーを採用したQ.PEAK DUOが「インターソーラー・アワード2018」を受賞している。 訴訟の対象となる特許を採用したQ.ANTUMテクノロジー説明図
【複合材料】帝人グループ、世界最大のコンポジット展示会「JECワールド2019」に出展
帝人グループは、3月12日~14日まで、パリで開催される「JECワールド2019」に出展する。同展は、世界中に550,000名以上の会員を持つ世界最大の複合材料関連団体であるJECグループが毎年開催しているもので、今回の出展では、新たにグループに加わったイナパル・プラスティコ社およびジーグラー社を含む、帝人の高機能マテリアルや複合成形材料を一堂に集めて紹介し、さらなる用途開拓を図る。
主な出展内容は次の通り。
<複合成形材料>
熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)「Sereebo®(セリーボ)」
自動車部品などの量産対応に向けて、世界初の「1分間の製造タクトタイム」を実現した革新的なCFRTP。フロントバルクヘッドや、衝突時の衝撃吸収部材などを紹介する。
超軽量複合成形部材
高い耐衝撃性や耐腐食性に加えてコスト効率にも優れる成形材料。クラスAと称される金属と同等の美麗な外観を実現し、高い耐熱性が求められる電着塗装(E-Coat)工程にも適応可能な自動車部品や、構造部材やEV向けバッテリーケースなどへの採用例を紹介する。
<高機能マテリアル>
炭素繊維「テナックス®」
強度や弾性率などの機械特性に優れる炭素繊維。熱硬化性、熱可塑性コンポジットの補強素材として、航空宇宙、自動車、一般産業、スポーツ用途などで幅広く使用されている。
高耐熱・高耐衝撃プリプレグ
BMI系樹脂の特性である優れた耐熱性を維持しながら、高い耐衝撃性を兼ね備えた新規プリプレグ。航空機のエンジン関連部材など、高温かつ過酷な状況下で使用される用途に向けて展開していく。
パラ系アラミド「トワロン®」「テクノーラ®」、高機能ポリエチレンテープ「Endumax®」
高強度で、高い省エネ効果、環境負荷低減効果を発揮するバラ系アラミドと、耐薬品性に優れ、同じ重量の鉄に比べて11倍の強度を有する高機能ポリエチレンテープ。「トワロン」と炭素繊維「テナックス」を組み合わせたコンポジットで補強したヘリコプター座席などを展示する。
不織布「HACOloft®」
通気性に優れ、複雑な形状への対応や、滑らかでドレープ性のある表面加工が可能な高機能不織布。芯材にポリプロピレン樹脂を用いたタイプは、樹脂が不織布内に均一に分散されており、大型部品の一体成型にも対応可能。自動車、風力発電、船舶、建築など、幅広い分野で採用されている。
【自動車】帝人、軽量性、強度、デザイン性を兼備したマルチマテリアルによるドアモジュール開発
帝人(株)は、自動車の軽量化、強度やデザイン自由度の向上、および製造工程の短縮化などに貢献する、コンポジット製の座席ドアモジュール*1を開発した。既に試作品の開発にも成功しており、世界最大のコンポジット展示会「JECワールド2019」において初めて披露する。出展ブース:hall 6, G28 & J28。
世界的な環境規制の強化を背景としたEV化の加速により、特に欧州を中心に、樹脂などの軽量・高強度素材を用いたモジュール化が進んでおり、既に後部荷室の扉やボンネット、ルーフなどに実用化されている。こうした中、座席ドアについては、事故の際に搭乗者を守り、乗降のたびに負荷がかかり、かつ電源供給や信号通信に必要なハーネスを内蔵していることなどから、特に優れた衝撃吸収特性や疲労特性が求められている。
一方、一般的にスチール代替の軽量素材として用いられるアルミは、複雑な形状への加工が容易ではなく、デザインの自由度に制約があるとされている。
帝人グループは、独自の高機能素材やエンジニアリング技術、および成形技術を駆使して、マルチマテリアルによるコンポジット製の座席ドアモジュールを開発・設計し、軽量性、強度、デザイン性を同時に実現した。
このたび開発したドアモジュールは、CF-SMC*2やGH-SMC、一方向性のGFRPを組み合わせることにより、座席ドアに求められる強度を保ちながら、スチールを使用した従来のドア部品に比べて約35%の軽量化に成功した。
また、アルミを使用したドア部品と同等の製造コストを実現しながら、アルミでは実現が難しかった、角部分に半径3mmの丸みを持たせた深さ70㎜の型押し加工による深絞り成形を行い、デザイン性も向上した。
さらに、高い耐熱性が求められる電着塗装(E-Coat)工程にも適応可能であることから、従来の金属部品の塗装工程ラインを活用できるため、生産性の向上にも寄与する。
帝人グループは、自動車部品の軽量・高強度コンポジット化の加速に向け、様々な取り組みを推進している。このたび開発したドアモジュールについても、グループ内の素材や技術を結集し、顧客ニーズに沿った最適な設計と改良を行うことにより、2025年までの実用化を目指していく。
また、このたびの開発を機に、マルチマテリアルでの部品供給メーカーとして、ソリューション提案力の強化を進めることで、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業で売上2,000百万米ドル規模を目指していく。
*1 モジュール: 自動車の車両を構成する部材を組み合わせてシンプルに設計する仕組み。
*2 SMC:Sheet Molding Compoundの略。熱硬化性樹脂を炭素繊維やガラス繊維に含浸させ、シート状にした成形材料。
【ダイバーシティ】帝人、障がい者の雇用促進のため特例子会社を設立
帝人(株)は、知的・精神などの障がい者がやりがいと働く楽しさを感じられる職場の創出を目的として、今年2月14日に100%出資子会社「帝人ソレイユ(株)」を設立した。同社は、今年4月に「特例子会社」*の認定申請を予定している。帝人ソレイユは、今後、オフィスサポート(事務補助)、クリーンサービス(清掃・除草など)、農業など、多様な職場・業務を展開していく。
帝人グループは、年齢や性別、経歴、障がいの有無、国籍・人種などに関わらず、全ての社員が活躍できる企業となるべく、ダイバーシティ活動を推進しており、今後も障がい者の雇用を促進し、社会貢献に取り組んでいく。
* 特例子会社:「障害者雇用の促進等に関する法律」に基づき、企業が障がい者雇用を目的に設立する子会社のこと。親会社が障がい者の雇用に特別な配慮をした子会社を設立した場合、一定の要件を満たし、厚生労働大臣の認定を受けることで、親会社と合わせて障がい者の雇用率を算定することができる。
<新会社の概要>
社名:帝人ソレイユ(株)
本社所在地:東京都千代田区
設立:2019年2月14日
資本金:2,500万円
代表者:代表取締役社長 唐澤利武
株主:帝人(株)100%
従業員数:10名(内、障がい者7名)(4月1日予定)
業務内容
・帝人グループ内の受託サービス:一般事務、清掃・除草など
・農業:農作物の生産・販売
主な事業所:[本社] 東京都千代田区、[農場] 千葉県我孫子市 など
【石炭ガス化燃料電池複合発電】「大崎クールジェンプロジェクト」の第1段階、酸素吹IGCCの実証試験を完了

IGFC実証事業は、酸素吹IGCC※3実証(第1段階)、CO2分離・回収型酸素吹IGCC※4実証(第2段階)、CO2分離・回収型IGFC※5実証(第3段階)で構成され、中国電力(株)の大崎発電所構内に17万kW規模の実証試験設備を建設した。2017年3月から開始した実証試験では、ガス化炉で石炭粒子をガスにして1300℃級のガスタービンを動かすと同時に、そこから発生する熱を利用して蒸気タービンを動かして複合的に発電し、石炭火力発電システムとしての性能や運用性、信頼性、経済性について検証を行い、1300℃級ガスタービンを適用した酸素吹IGCCにおいて送電端効率※640.5%(HHV:高位発熱量基準)の達成などを目指した。
2017年3月に実証試験を開始して以降、約2年間にわたり、酸素吹IGCCプラントの商用化を見据え、基本性能や制御性・運用性などの検証を行った結果、第1段階の全ての試験項目で目標を達成した。発電効率においては、17万kW規模の実証プラントとしては世界最高レベルの効率となる送電端効率40.8%(HHV)を達成し、商用機での送電端効率約46%の達成に見通しが立った。
今後も第2段階のCO2分離・回収型酸素吹IGCC実証、第3段階のCO2分離・回収型IGFC実証に引き続き取り組み、革新的低炭素石炭火力発電の実現を目指す。
(1)基本性能(プラント性能)
17万kW規模の実証プラントとしては世界最高レベルの性能となる送電端効率40.8%(HHV)を達成したことにより、さらなる高効率化が図られる1500℃級ガスタービンを採用する商用機(50万kW規模)での送電端効率約46%達成の見通しが得られた。また、発電効率が向上することで、高効率な石炭火力発電の商用機として現在普及している超々臨界圧微粉炭火力(USC)※7と比べて、CO2の排出量を15%程度削減することが期待できる。
(2)プラント制御性・運用性
目標を大幅に上回る負荷変化率※8最大16%/分を達成するとともに、送電端出力0MW※9での安定運転を確認し、発電出力を機動的に制御することが可能であることを確認した。導入拡大が進む再生可能エネルギーなどの急激な出力変動に対応する電源としても活用できる運用性の高さも確認した。
第2段階(2016~2020年度)では、第1段階の酸素吹IGCC実証にCO2分離・回収装置を追設したCO2分離・回収型IGCCの実証試験を行い、更なるCO2排出削減に取組む。現在、2019年度中の実証試験開始を目指し、建設工事を進めている。
さらに、プロジェクトの最終段階である第3段階(2018~2022年度)では、CO2分離・回収型IGCC設備に燃料電池を組み込んだCO2分離・回収型IGFCの実証事業を計画しており、50万kW規模の商用機に適用した場合に、CO2を90%以上回収したうえで47%程度の送電端効率達成を目指す。
※1 大崎クールジェン(株)
中国電力(株)と電源開発(株)の共同出資会社。
※2 石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)
石炭をガス化して、燃料電池、ガスタービン、蒸気タービンの3種類の発電形態を組み合わせて複合発電を行う発電方式のことです(Integrated Coal Gasification Fuel Cell Combined Cycle)。
※3 酸素吹IGCC(酸素吹石炭ガス化複合発電)
石炭をガス化して、ガスタービン、蒸気タービンの2種類の発電形態を組み合わせて複合発電を行う発電方式(Integrated Coal Gasification Combined Cycle)には、石炭ガス化炉に酸素を供給する酸素吹方式と空気を供給する空気吹方式がある。CO2分離・回収設備と組み合わせる場合には、酸素吹方式の方がエネルギー効率的に優れているとされる。
※4 CO2分離・回収型酸素吹IGCC
CO2分離・回収設備を備えた酸素吹IGCCのこと。
※5 CO2分離・回収型IGFC
CO2分離・回収設備を備えたIGFCのこと。
※6 送電端効率
発電効率には、発電端効率と送電端効率があり、発電端効率は発電機端子で計測した電力量を用い、送電端効率は発電機端子で計測した電力量から実際の所内電力(発電に必要な全補機動力)を差し引いた電力量を用いて算出する。
※7 超々臨界圧微粉炭火力(USC:Ultra Super Critical)
従来使用されている発電方式で、石炭を細かく砕いた微粉炭をボイラにて燃焼し、得た熱から600℃程度の蒸気を作りスチームタービンで発電する方式。送電端効率は40%程度で、負荷変化率は1~3%程度。
※8 負荷変化率
1分間当たりの定格負荷に対する発電出力変化の割合。負荷変化率が高いほど電力需要の変動に応じて迅速に出力を調整することができる。
※9 送電端出力0MW
発電機の出力をそのまま表示したものが発電端出力で、発電端出力から所内電力(発電に必要な全補機動力)を差し引いたものが送電端出力。送電端出力0MWは所内電力量分のみ発電している状態。
【ドローン】エンルート、NEDOプロジェクトで火災現場に使える300℃耐火型開発
そこで、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2017年度から「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト※1」において、物流、インフラ点検、災害対応などの分野で活用できるドローンおよびロボットの開発を促進するとともに、社会実装するためのシステム構築および飛行試験などを実施している。同プロジェクトにおいて、(株)エンルートは、災害現場での迅速な救助活動や火災現場の状況確認を支援する300℃耐火型ドローンの研究開発に取り組んでいる。

300℃耐火型ドローンの具体的な用途としては、消防機関のはしご車などよりも迅速な展開が可能であるとともに、従来のドローンと比較して火災現場の近距離撮影ができるため、消火活動への有効活用が期待できる。はしご車の侵入困難な狭い道路などにおける資機材配置確認、ビルや工場内の要救助者の救出ルート確認、隣接建物などへの延焼状況の把握、消火活動後の再燃防止が可能。また、山岳地帯、水辺などの災害現場においても利活用できる「消防士の空飛ぶチームメイト」を目指している。
今後、エンルートは、2019年4月から9月までの期間に消防機関を対象に、製品サンプル提供およびドローン操縦講習、モニタリング、並びに性能評価のフィードバックを進め、2019年10月から注文を受ける予定。
なお、エンルートは、2019年3月13日~15日に幕張メッセで開催される「ジャパン・ドローン 2019(第4回)」において、300℃耐火型ドローンの製品サンプルを展示予定。
人間用の防火服の耐火基準が260℃(ISO17493)であることを参考値として、300℃で1分間連続運用可能な耐火性を目標値とした。機体やプロペラ部品には、耐火性があり、加工しやすく、軽量で、量産性に長けたチタンなどの素材を採用した。
機体の内部に配置した撮影用のカメラについては、熱の影響を低減するために、カメラ前面を従来のカーボン素材ではなく断熱性と透過性に優れた石英素材で覆った。石英素材による重量増加に対しては、機体のプロペラのアーム部品を従来のカーボン素材からマグネシウム(表面はチタン加工)などに変更することで軽量化を図った。

エンルートは2019年4月から、消防機関を対象として、今回開発した300℃耐火型ドローンのモニタリングを開始する。モニタリング参加には、あわせてエンルートによるドローン操縦講習の受講が必要。
モニタリング受付期間:4月5日~11日まで
詳細問い合わせ先:エンルート研究開発プロジェクト推進部 高橋 TEL:048-423-0126
<注釈>
※1 ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト
実施期間:2017年度~2021年度の5年間を予定
2018年度予算:32.2億円(事業全体)
ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト
※2 世界で初めて
火災現場の上空5m~10mからの近距離空撮が可能な300℃耐火型ドローンの開発。2019年3月6日現在、(株)エンルート調べ。