日本合成化学工業(株)(日本)、PLASTIENVASE(SP GROUP)(スペイン)、食品メーカーのFastMoving Consumer Goods Company(スペイン)、およびAINIA CENTRO TECNOLÓGICO(スペイン)は共同で、多層バリア食肉加工包装の完全生分解化(完全コンポスト化)を業界で初めて開始した。
同プロジェクトは、日本とスペイン両国の研究開発の加速を目的とした、スペイン・産業技術開発センター(CDTI) と日本・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)の共同研究、Japan & Spain Innovation Program(ジャパン・スペインイノベーションプログラム(JSIP))の対象プロジェクトであり、今後、2年間にわたり研究が継続される。
サスティナブルパッケージングに対する(包装のサスティナブル化への)要求に応えるためには、国際的協力による高度で先進的な技術開発が必要とされている。アクティブ包装の特徴や発展を維持しつつ環境への影響を最小限にする革新的かつ包括的ソリューションを見出すためには、共同研究が必要不可欠である。この理念に基づいて創設されたBIOBARACTIVE-JSIPプロジェクトは、日本のグローバル企業である日本合成化学工業、スペインの包装材メーカーであるPLASTIENVASE (SP GROUP)、食品メーカーのSpanish Food Manufacturer Company、およびAINIA-Technological Centerからなる技術的、革新的取り組み。
この共同研究体に設置された国際研究チームは、次のような高い目標を掲げている。
生鮮食品の保存期間を現在の30日間から引き延ばすことができ、かつ完全生分解性(完全コンポスト性)を有する業界初多層アクティブバリア包装の開発
起点:優れたバリア性を有する、生分解性・コンポスト性素材
同プロジェクトは、日本合成化学が開発した、生分解性(コンポスト性)と優れたガスバリア性を併せ持つ生分解性ポリマー、ニチゴーGポリマー™ がなくては始まらない。もちろん構成部分(多層バリア、蓋材フィルム、トレイ)も、すべて生分解性(コンポスト性)を有している必要がある。また、生分解性ポリマー、ニチゴーGポリマーをバリア包装材として用いることで、食品包材として完全生分解性を達成することができる。
開発中の試作包装は、蓋材フィルムと熱成形容器(トレイ)で構成され、生鮮食品の安全性と保存期間に対するニーズおよび規格の両方に対応している。PLASTIENVASE(SP GROUP)は、日本合成化学が提供するニチゴーGポリマー™ を用いて、7層の多層ブローンフィルム成形が行われる。そこで得られたフィルムは、生分解性(コンポスト性)を有する高バリアフレキシブル包装に使用される。また同フィルムはPLAシートにラミネートされ、二次成形用シートに加工される。
食品メーカーは、その独自の観点から、流通過程や消費者からの要求に関する評価を行う。BIOBARACTIVE-JSIPプロジェクトで生まれた斬新な包装は、生鮮食品を用いた試験によって評価され、その結果、競争優位性のある商品であることが見出される。
AINIA-Technological Centerは、食品要件、機械、保存条件等の観点あるいは包装材に抗菌物質を取り入れることに関して、この研究共同体に専門知識を提供する。
ミッション:完全サスティナブル包装の賞味期限延長
同プロジェクトは、完全サスティナブル包装の開発という、社会や食品業界関係者の高まる要求に対応している。食品包装分野においての主要な問題は、多くの包装が、各層が固有の機能(構造、バリア性、シール性、接着性、インク)を持つ多層構造で構成されており、バリア材も含めて各部材すべてが環境に優しくなければならないということである。
同プロジェクトは、この方向性が重視されており、また、包装容器にアクティブバリア剤を導入することによる食品の賞味期限延長にも注力している。